「汚い部屋のほうが居心地がいい」と言う人がおられますが、どうしてそのように感じるのか気になりませんか?
筆者自身も片付けができなくなった時期があるので、なぜそのようになったのか原因を知りたいと思いました。
汚い部屋に住む人の心理を知れば、汚部屋から脱却できる手掛かりになるでしょう。
当コラムでは、「汚い部屋が落ち着く」と感じる心理を解説し、片付けられない原因や汚部屋からの脱却方法をご紹介します。
片付けられるようになりたい人、家族や大切な人の汚部屋脱却をサポートしたい人はぜひお役立てください。
汚い部屋のほうが落ち着くと感じる住人の心理状態とは
物が多くて散らかっている、いわゆる汚部屋のほうが落ち着くと感じる人たちの心理状態をわかりやすく解説します。
・分離不安傾向がある
分離不安とは、人や家、物など愛着のあるものから離れることに対して強い不安や恐怖を感じる状態のことです。
安心感を得たいという心理から、物を手放すことができません。
・孤独感が強い
汚部屋になる人には寂しがり屋の人が多いといわれ、依存傾向が強く、人間関係で満たされない心を物で満たして補おうとします。
・不安を感じやすい
心配性でネガティブ思考の人は、過剰に備えようとする傾向があります。
例えば、トイレットペーパーなどの生活必需品が切れてしまうことを恐れて、必要以上に予備の品を買い溜めして物が増えます。
・ストレス過多である
過度なストレスが原因で判断力が低下し、衝動買いや大量購入を繰り返します。
収納場所の問題や似たものを持っているかなどを考慮する冷静さも欠けてしまうようです。
・捨てることに罪悪感を感じる
もったいないという精神が行き過ぎて、物を捨てることに罪悪感を覚えます。
・自己肯定感が低い
自信が持てず、自分のことを粗末に扱い「自分には汚い部屋がお似合いだ」などと思い込みゴミを溜め込みます。
・良い人でいようとする
外で良い人であろうとするあまり、反動で家に帰ると何もやる気が起きなくなってしまいます。
自分を押し殺し他人に合わせ続けるのは、脳や心に多大な負担がかかるのです。
*関連コラム
ゴミ屋敷はセルフネグレクトが原因?孤独死にもつながる病の特徴や予防策を解説!
部屋が片付けれらない理由は人それぞれ!主な原因は9つ
片付けが得意だった人でも、様々な要因が重なると片付けられなくなることがあります。
この章では、片付けられない理由を9つご紹介します。
・物が多い
部屋の広さや収納の大きさごとに最適な物量があり、これを超えると片付けが困難になります。
掃除もやりにくくなるので面倒になり、片付けやゴミ捨ての頻度が減り、ますます物が増えるという悪循環に陥ります。
・物が捨てられない
まだ使える品、まだ着れる服などを処分することがもったいないと感じて捨てられずにいると溜まっていく一方です。
・自由になる時間が少ない
仕事や学業が忙しい、家事や育児に追われているなど、片付けに使える時間が満足に取れないケースがあります。
・不規則な生活をしている
夜勤のある仕事をしているなど、不規則な生活を送っていると決められた日にゴミ出しができず部屋にゴミを溜めてしまいます。
・周囲に人目がない
一人暮らし、自宅に誰も訪れないといった状況では、人目を気にしなくなるうえに、部屋の状態を指摘される機会もありません。
・体が不自由である
加齢に伴う体力・身体機能の低下、ケガや後遺症などがあると片付けが困難になります。
・片付けの仕方がわからない
収納場所を決められない、掃除のタイミングがわからないなど、片付け方がわからない人がおられます。
親が片付けできない人だったり、片付け方を教わっていなかったりした場合に多いようです。
・認知能力が低下している(加齢、認知症など)
加齢や認知症により判断能力が低下し、散らかっていると自覚できない、必要な物と不要な物が区別できない状態になります。
・病気(精神疾患、統合失調症、ADHDなど)
片付けができない・できなくなるという症状を伴う病気はいくつもあります。
物に執着して溜め込む、ゴミを拾ってくる、空間認識力が低い、集中力が続かないなどが原因で片付けができません。
汚い部屋に住み続けるメリットとデメリットを比較しよう
汚部屋に住むメリットは本人にしか感じられないため、ほぼデメリットしかないのが実情です。
汚い部屋に住み続けるメリット
あえて挙げるとすれば、本人にとっては、居心地が良く安心できると感じられることがメリットと言えるでしょう。
しかし、慢性疲労や精神疲労、病気、ストレスなどが原因でできあがった空間です。
周囲の人にとってメリットはありませんし、本人でも心身ともに健やかな状態なら快適とは感じないのではないでしょうか。
筆者も過去に、長時間労働が続き、精神的にも肉体的にも疲労困憊で一時的に片付けができなくなったことがあります。
休日になっても気力が湧かず部屋にこもりがちでした。
室内に散らかった物が、自分を守るバリケードのように感じて妙な安心感を感じたのを覚えています。
汚い部屋に住み続けるデメリット
デメリットがたくさんあるうえに、住んでいる期間が長くなればなるほど、本人や近隣への悪影響も大きくなります。
・健康被害
掃除や換気をしない部屋では、ホコリやダニといったアレルギー物質の他、雑菌も増殖します。
肌荒れやアレルギーを発症するだけでなく、免疫力が低下して病気にもかかりやすくなります。
・害虫、害獣被害
害虫や害獣にとっては、エサも豊富で隠れる場所もある快適な環境のため、集まり住みついて繁殖します。
・火災
汚部屋やゴミ屋敷には可燃物が多く、さらに密集して置かれているため、わずかな火種でも引火しやすく瞬く間に燃え広がります。
タバコの不始末、暖房器具の消し忘れ、トラッキング現象などが原因で火災になった事例もあります。
積み上がったゴミが障害となって逃げ遅れたり、近隣住宅に延焼したりするリスクも高いです。
・人間関係の悪化
屋外にまでゴミが散乱する、悪臭や害虫の被害が周囲にも及ぶなど、近隣とのトラブルに発展するケースは少なくありません。
賃貸住まいの場合では、管理会社や大家さんから原状回復や退去を求められることもあります。
また家族や友人を自宅に呼べないなど、人とのつながりを遠ざけてしまう方も多いです。
*参考サイト・トラブル事例
【独自】「隣人ガチャ外れた」「家売りたくても売れない」”ゴミ屋敷”の近隣住民が苦情…記者直撃に住人「関係ねーだろ」神奈川・厚木市(FNNプライムオンライン:2024年)
・精神面への悪影響
汚い部屋に住み続けることでメンタルヘルスに悪影響を及ぼすという研究結果があります。
集中力や生産効率の低下を生み、ストレスや憂鬱などの精神状態を誘発、精神疾患を発症してしまうこともあるそうです。
*参考サイト
デスクが散らかっていると集中力も生産性も低下する(Harvard Business Review:2019年)
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※許認可の関係等で現在対応できない地域も一部ございます。
汚部屋から脱却するための片付け方法と無理なく進めるコツ
無理のないスケジュールの設定と続けやすい作業量を意識して、心にゆとりを持って取り組んでください。
汚れた部屋が落ち着くと感じる心理状態にある方は、自分の体調を顧みず無理をしがちです。
休憩もなしに長時間作業するなどの無茶なやり方をしないように注意しましょう。
汚部屋から脱却するための片付け方法
1:明らかなゴミ、1~2年以上使っていないものを捨てる
明らかにゴミだと判断できるもの(紙くず、ペットボトル、プラスチックゴミなど)を、種類ごとにゴミ袋に集めましょう。
紙くずなら紙くずだけ、ペットボトルならペットボトルだけをひたすら集めるようにすれば判断に迷うこともありません。
その後、所持品のうち1年または2年以上といった長期間使用していないものを処分します。
これらを処分するだけで、部屋の中の物がかなり減ったように感じて達成感を得られるでしょう。
2:それぞれの物の定位置を決める
物によって適切な収納場所や組み合わせがあります。
例えば、掃除機やクリーナー、スポンジなどはひとまとめにしておくほうが掃除をする時に便利です。
メイク道具、ドライヤー、ヘアブラシなど、身だしなみに使用するものは鏡(使用する場所)の近くに収納するといった具合です。
品物ごとに、どこで使用するのかを考えて収納場所を決め、そこに必要な物をまとめて収納しましょう。
使用頻度が高い物を手前の取りやすい位置に収納すれば、出し入れもしやすくなります。
3:室内を掃除する
掃除機をかけ、モップや雑巾などで拭き掃除をします。
生ごみの汁や飲み物などがこぼれてしまっていた場合は、洗剤を使用して丁寧に洗浄しましょう。
無理なく片付けを行うポイント
・捨てるかどうかの判断に迷ったら一旦保留にする
捨てるか迷う物は一旦保留にして、数か月~1年ほど時間をおいてから改めて判断しましょう。
時間をおくことで冷静になれますし、この期間に使用する機会がないのであれば不要なものなのかもしれません。
・1日に片付けるのは1カ所だけにする
広範囲を一気に片付けるのは現実的ではありません。
片付けを1日1カ所に絞ることで、目標も達成しやすくなりますし、成果が目に見えるので次回の作業への意欲も高まります。
・1回の作業時間は物足りないくらいに留める
1回の作業時間は1時間程度、長くても2時間くらいまでにしておくのが良いでしょう。
個人差はありますが、人の集中力は15分ほどしか続かないと言われており、15分ごとに5分間休憩することが望ましいそうです。
片付けに没頭するとどんどん進めたくなるものですが、知らずしらず疲れが溜まっていることもあります。
「まだできる」と感じる程度に留めておけば、誤って大切なものを処分する、翌日以降に意欲が湧かないといった事態も防げます。
*参考サイト
勉強の集中力は”15分”が限界?脳科学の専門家に聞く「集中」のコツ(朝日新聞:2023年)
きれいな部屋を保つコツ!少しの意識で汚部屋化は防げる
きれいを保つコツを知り、少し意識するだけで汚部屋の再発は防ぐことができます。
①片付け・掃除を習慣化するには続けやすいルール作りが大切
自分が続けやすいルールを作って定期的に片付けや掃除をしましょう。
②物を増やさないためには「買う」なら「捨てる」
買った数だけ古い物を捨てるようにして、収納可能な量を超えないようにしましょう。
③「いつか使うかも」はほぼ使わないと心得る
何年も使っていない物や着ていない服は、今後も使うことはほぼありませんので思い切って処分するのが賢明です。
④捨てるのに抵抗があるなら「売却・リサイクル・寄付」をしよう
まだ使える物を処分することに抵抗を感じるのであれば、売却やリサイクル、寄付を行うのがおすすめです。
⑤家族や友人を家に招いて片付け意欲が湧く状況にする
自宅に人を招く機会が増えると、部屋を片付けようという意欲も湧いてきます。
また、無意識に散らかしてしまっていても、指摘してもらえれば気付けます。
何より、気心が知れた人たちとの交流はストレスの緩和にもなるでしょう。
まとめ
汚い部屋が落ち着くと感じる人の心理状態は、不安や孤独を感じやすい不安定な状態であることがおわかりいただけたと思います。
汚部屋を効率良く片付けてきれいな部屋を取り戻し、心身ともに健やかな生活が送れるようにしたいですよね。
しかし、仕事が多忙、体が不自由などの事情から、自分では片付けられない、きれいな状態を保てないという人もおられるでしょう。
病気や身体的な問題が原因なら、適切な治療を受けるのが先決です。
そして行政や家族、友人を頼ったり、ゴミ屋敷片付け、ハウスクリーニング、家事代行などのサービスを利用したりしましょう。
一人で抱え込んで諦めてしまうのではなく、誰かの助けを借りるのも立派な解決方法です。