ゴミ屋敷や汚部屋に近い状態の家は売れないと考える方もいるかもしれませんが、実は大丈夫です。
ゴミ屋敷でも売却できる方法があります。
この記事では、ゴミ屋敷を売却する方法や売却にかかる費用などについて詳しく説明します。
どのような方法で売却するのがベストなのか、ぜひ参考にしてみてください。
ゴミ屋敷が売却の障害になる理由とは?
ゴミ屋敷とは、日常生活の中でゴミや不用品を大量にため込んだ住居のことを指します。
これらの住居では、通常の生活ができないほどの大量のゴミが散乱し、部屋のあちこちに積み重なっています。
ゴミ屋敷には、ゴミの他にも不衛生な状態や傷んだ家具、家屋の損傷、害虫やカビなどの問題がしばしば見られます。
ゴミ屋敷が売却の障害になる主な理由
「ゴミ屋敷なので売却できないだろうな……」と考えてしまう理由には、以下のような点が挙げられます。
1.不動産の価値の低下
ゴミ屋敷は通常の住居と比べて価値が低く、買い手が見つかりにくいのが現状です。
ゴミが堆積していることにより、建物自体の状態が悪化し、内装や設備の劣化が進むため、不動産の価値が大幅に下がります。
さらに、ゴミ屋敷が存在することで、地域全体の資産価値が低下する恐れがあります。
2.解体や清掃の費用
ゴミ屋敷を売却する際には、解体や清掃などの費用がかかるため、売主にとって大きな負担となります。
長期間放置されたゴミ屋敷は、内部の状態が極めて悪いうえ、害虫や害獣の駆除、悪臭の除去など、通常の清掃では対処できない場合が多いです。
そのため、専門の清掃業者や解体業者に依頼する必要があり、その費用は高額になることがあります。
3.周囲への影響
ゴミの悪臭や害虫・害獣の発生が増えることによる衛生状態の悪化により、近隣住民の生活環境が著しく損なわれることがあります。
また、ゴミ屋敷が火災のリスクを高めることもあり、防災上の観点からも問題視されます。
近隣住民や自治体から苦情や注意を受けることが増え、地域社会全体に不安を与える存在となります。
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『ゴミ屋敷の片付けにかかる費用を公開!処分費用を抑える方法は?』
ゴミ屋敷を売却する方法
売却が難しそうなゴミ屋敷でも、結論から言うと売却は可能です。
ゴミ屋敷の売却方法をひとつずつ見ていきましょう。
ゴミをすべて処分してから売る
ゴミ屋敷を早く、高く売却したいのであれば、ゴミをすべて撤去します。
物件にゴミが残っていると飼い主は現れません。
自分でゴミの撤去と掃除ができない場合は、ゴミ屋敷片付けの専門業者に依頼しましょう。
しかし、ゴミの片付けと掃除をしても、悪臭が部屋に染みついて取れなかったり、床や壁に汚れや破損が目立ったりしている状態も考えられます。
そうしたマイナスポイントも物件の価値を下げる要因です。
部屋の状態次第では、清掃や消臭、除菌、リフォームなどの費用も必要になります。
ゴミを残したまま売る
ゴミを処分する費用がない、自分で片付けるのは面倒くさいという場合は、ゴミ屋敷をそのまま買い取ってくれる不動産会社や訳あり物件専門の買取業者に売却すると良いかもしれません。
この方法で売却すれば、ゴミを処分する費用の心配をする必要がなく、一切の手間を省いて売却できます。
専門業者に買い取ってもらった場合は、仲介手数量はかからないうえ、瑕疵担保責任が免責されるというメリットもあります。
*瑕疵担保責任とは、売買契約において売主が買主に対して、物件に隠れた欠陥や不具合があった場合にその責任を負うことを指します。
建物を解体しないで売る
通常の家の売却では、更地にするか建物ごと売却するかで迷うことがありますが、ゴミ屋敷の売却では、売主が建物の解体を決める必要はありません。
家の解体には200万円ほどの費用がかかるため、売却前にその費用を用意するのは大変です。
買取を行う不動産会社では、解体が必要かどうかを判断し、必要であれば買取後に解体作業を行うため、売主はその費用を用意する必要がありません。
室内をきれいに掃除すれば、リノベーションして利用できると判断することもあります。
解体にかかる費用や再建の費用と時間を考慮すると、この方針は費用と労力を節約できます。
更地にすると固定資産税の軽減が受けられなくなるデメリットもあるため、解体を行わない方法も選択肢のひとつです。
ゴミ屋敷の売却で必要になる費用
ゴミ屋敷を売却する際に必要になる費用は以下の通りです。
・ゴミの処分費用
・登記費用
・印紙税
ひとつずつ詳しく説明します。
ゴミの処分費用
ゴミの量や種類にもよりますが、一軒家で室内すべてにゴミが溢れている場合、100万円ほどかかることもあります。
ファミリータイプのマンションであれば、30~50万円ほどで済む場合もあります。
ただし、実際にゴミの量や種類などを見積もりしてもらわなければ正確な金額はわかりません。
ゴミ屋敷片付けの専門業者に見積もりを依頼しましょう。
ゴミの処分費用が用意できないときはどうすればいい?
ゴミの処分費用は高額です。
お金を用意できない場合は、ゴミを処分しないで建物と一緒に買い取ってくれる不動産会社やゴミ屋敷片付けの専門業者に買取を依頼すると良いでしょう。
最近では、ゴミ屋敷清掃後に不動産取引を手掛ける会社も増えています。こうした会社は、家の買取金額からゴミの処分費用を差し引いてくれるため、まとまったお金を用意する必要がありません。
不動産会社やゴミ屋敷専門業者を調べるときは、その会社の事業形態にも目を向けましょう。
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『ゴミ屋敷はお金がないと片付けられない?少額で進める方法を紹介』
登記費用
登記費用は、不動産の売却時に必ず発生する重要な費用の一つです。
家の売却が決まった後、売買契約を結んで所有者を変更する手続きを行いますが、この際に登記手続きが必要となります。
この登記手続きには、専門知識が求められるため、通常は司法書士に依頼します。
司法書士への報酬として支払われる登記費用は、登記の内容や不動産の状況によって異なりますが、一般的には1~5万円程度が相場とされています。
この費用には、登記手数料や登録免許税、司法書士の報酬が含まれます。
したがって、家を売却する際には、これらの費用も考慮に入れて予算を組むことが重要です。
また、売却の際にかかるその他の費用と合わせて、全体のコストを把握しておくことで、予期せぬ出費を防ぐことができます。
印紙税
印紙税は、不動産売買契約において避けては通れない費用の一つです。
具体的には、売買契約書に収入印紙を貼付し、消印することで納税が行われます。
印紙税の金額は物件の価格に応じて異なり、一般的には1千~1万円程度が相場です。
この費用は、契約書を正式なものとして法的に有効にするために必要なもので、契約書が複数部作成される場合には、それぞれの契約書に対して印紙税が発生します。
ただし、売主が売買契約書の原本を保管する必要がない場合、売主側の契約書に対する印紙税は免除されることがあります。
これは、買主側の契約書にのみ収入印紙を貼付し、売主側がそのコピーを保管することで済む場合に適用される措置です。
このような場合、売主は印紙税の負担を軽減することができます。
印紙税は、不動産取引における総費用の中でも重要な位置を占めるため、事前にしっかりと確認し、予算に組み込んでおくことが重要です。
買取の場合、仲介手数料は不要!
一般的な不動産仲介による売却の場合、売却が完了した際に不動産会社へ仲介手数料の支払いが必要となります。
仲介手数料は、売却価格に基づいて計算されるもので、売主にとっては無視できない費用の一つです。
この手数料は、通常、売却価格の3%に6万円を加えた金額に消費税を含めたものが相場となっています。
一方で、不動産会社が直接物件を買い取ってくれる場合には、仲介手数料は発生しません。
この方法では、不動産会社が自ら買主となるため、仲介の役割を果たす必要がなく、手数料が不要となります。
直接買取は、スピーディーな売却を希望する場合や、仲介手数料を節約したい場合に有効な選択肢です。
しかしながら、不動産会社が直接買取を行っていない場合、その不動産会社が買取を行っている別の会社を紹介することがあります。
このようなケースでは、紹介元の不動産会社に対して仲介手数料が発生するため、注意が必要です。
紹介された会社との取引であっても、紹介手数料として仲介手数料が請求されることがあるため、事前に費用の詳細を確認することが重要です。
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ゴミ屋敷は不動産業者に「買取」してもらうのがベスト!
ゴミ屋敷の売却方法としては、不動産業者や買取専門業者に買い取ってもらう方法が最善です。
ゴミ屋敷は買取をしてもらうのがベストな理由
通常、家を売る際には不動産会社に売却を依頼し、買い手を探してもらいます。これが通常の「仲介」の方法です。
しかし、ゴミ屋敷の場合は、不動産会社や買取業者に直接「買取」をしてもらう方法をおすすめします。
不動産会社に売却を依頼する方法と、不動産会社や買取業者に直接買い取ってもらう方法の違いを比較してみましょう。
仲介方法 | 買取方法 |
不動産会社に売却を依頼し、買い手を探してもらう | 不動産会社や買取業者に直接買い取ってもらう |
買い手を探すまでに時間がかかることがある | 即座に買い取ってもらえる |
不動産会社の手数料や仲介手数料がかかる | 仲介手数料が不要 |
買い手との交渉や条件合意が必要 | 交渉や条件合意が不要 |
買い手による建物の検査や査定がある | 買取業者が建物の状態を確認し、査定する |
買い手によるローン審査などがある | ローン審査など不要 |
買い手の都合により、売却が不確定な場合がある | 即座に売却が確定する |
売却価格が不確定な場合がある | 売却価格が即座に確定する |
買取の最大のメリットは、手続きが迅速であることです。
早ければ即日から1週間程度で売却でき、ゴミを片付ける手間を省くことができます。
ただし、買取価格は仲介の売却よりも約7割程度低くなることがあります。
それでも、手間をかけずに急いでゴミ屋敷を手放したい場合は、買取がおすすめです。
買取してもらう場合の注意点
ゴミ屋敷なので安く買い取られても仕方がないと、売主側は妥協してしまいがちですが、その必要はありません。
ゴミ屋敷を買い取るときに、不動産会社ができるだけ安い価格胃を提示するのは、ゴミの処分や清掃、傷んだ設備品の補修などに費用がかかるためで、その分を見積もった価格を算出しています。
しかし、ゴミ屋敷は事故物件ではありません。
ハウスクリーニングやリフォームをすればきれいになる可能性が高く、相場価格で売却できる事例も多くあります。
そこで重要になるのが、複数の不動産会社に買取査定を依頼することです。
さらに、提示された買取価格が、ゴミの処分費用や清掃費用を差し引いている価格なのかどうかをしっかり確認しておきましょう。
後になって、ゴミの処分費用や清掃費用が別途必要になる(買取価格から差し引かれる)と説明されることもあるからです。
買取ができない不動産会社もある
不動産会社が必ず買取をしてくれるとは限りません。
なぜなら、不動産会社の中には、そもそも買取業務を行っていない場合もあるからです。
家を買い取る場合は、数百万~数千万円という金額を一括で支払う必要があります。
そのため、資金力や銀行から融資を受けるだけの信頼性が求められます。
資金を用意することが難しい場合や、買い取った家を売却するノウハウが不足している場合、不動産会社は買取業務を行わないことがあります。
そのような場合、別の不動産会社や買取業者を紹介されることがありますが、その際には「仲介手数料」が発生することがあります。
買取を依頼する際には、買取業務を行っているかどうかをまず確認することが重要です。
ゴミ屋敷を放置しているとどうなる?
「手続きや掃除が面倒くさい」とゴミ屋敷をそのまま放置する人もいますが、決しておすすめできません。
ゴミ屋敷を放置していると次のようなデメリットがあります。
行政執行の対象になる
放置されたゴミ屋敷が住居や近隣に被害をもたらす場合、自治体から注意勧告を受けることがあります。
この注意に従わない場合、自治体は「行政代執行」として強制的にゴミを処分します。
行政代執行にかかる費用はすべて所有者の負担となります。
自治体によって、行政代執行が適用される条件は異なりますが、以下のような状況では、行政代執行が行われる可能性が高くなります。
・害虫や害獣の被害が発生している場合
・火災のリスクが高まっている場合
・近隣にゴミや悪臭などの被害が及んでいる場合
行政代執行が行われる前には、所有者に対して度重なる注意や指導が行われますが、それにもかかわらず改善が見られない場合に、最終手段として強制的な処分が実施されます。
したがって、所有者としては、自治体からの注意勧告に迅速に対応し、適切な対策を講じることが求められます。
住んでいなくても固定資産税がかかる
実家がゴミ屋敷であっても、そこに実際に住んでいない場合、急いで処分しようとは思わないかもしれません。
しかし、家は住んでいなくても、所有者には固定資産税がかかります。
年間にすると数万円程度かもしれませんが、これが積み重なると大きな支出となります。
さらに、空き家を適切に管理していない場合、自治体から「特定空き家」に指定されるリスクがあります。
「特定空き家」に指定されると、所有者には最大で50万円の過料が科せられることがあります。
実家がゴミ屋敷であっても、住んでいないからといって放置せず、できるだけ早めに処分することが重要です。
ゴミの処分や家の管理を適切に行うことで、固定資産税の支出を抑え、過料や行政代執行といったリスクを回避することができます。
また、家の状態を良好に保つことで、不動産の価値を維持し、将来的な売却や利用の選択肢を広げることができます。
自治体や専門業者の協力を得ながら、計画的に対処することが大切です。
近隣住民とトラブルになる
ゴミ屋敷は悪臭や害虫・害獣による被害、火災や放火などの防犯上のリスクが極めて高いといえます。
もし、敷地からゴミが溢れている場合は、地域の景観や環境を悪化させ、街の資産価値まで下げてしまう恐れもあります。
近隣住民にとって、ゴミ屋敷の存在は非常に迷惑であることを覚えておきましょう。
このように、ゴミ屋敷は近隣住民にとって非常に迷惑であり、地域社会全体に多大な悪影響を及ぼすことを覚えておきましょう。
ゴミ屋敷の問題を放置せず、早急に対策を講じることが、地域全体の健全な環境を維持するためには不可欠です。
地域住民や自治体と協力し、問題解決に向けて積極的に取り組むことが求められます。
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まとめ
ゴミ屋敷の売却は可能ですが、ゴミ処分や臭いの対策、建物の解体などの費用が必要になる場合があります。
そのため、ゴミをそのまま残した状態で買い取ってもらうのが最善です。
不動産会社や買取専門店に売却する際は、これらの費用を差し引いてくれるため、事前に大金を用意する必要はありません。
売却契約が早く成立し、手間をかけずにスムーズに手放すことが可能です。
しかし、手元に残る金額は、仲介売却(不動産会社に書いてを探してもらう方法)よりも割安になります。
売却方法を選ぶ際は、時間や労力の節約か、少しでも高額で売却するかを考慮し、不動産会社や買取専門業者に相談して決めましょう。