久しぶりに実家に帰ったときに、部屋が散らかっていると感じたことはありませんか?
実はこれ、ゴミ屋敷の傾向が出ているサインかもしれません。
「うちの親はきれい好きだから大丈夫」と否定したくなる気持ちもわかりますが、ゴミ屋敷は性格的な要因だけが関係しているわけではありません。
高齢者は誰もが自宅をゴミ屋敷化してしまう複数の原因を抱えています。
その原因と対策について解説しますので、家族や周囲の人たちでできることを考えておきましょう。
高齢者の自宅がゴミ屋敷になる6つの原因
お盆や年末年始に実家に帰省したときに、ゴミ屋敷のようにあらゆる物が床に散らかっていてショックを受けたことのある人は少なくないようです。
掃除好きでいつもきれいに整理整頓していたご両親が急に片付けや掃除をしなくなるなんて、家族は想像もできませんよね。
最初は戸惑うかもしれませんが、冷静になってその原因をしっかりと考えましょう。
考えられる原因
①認知症が進行して片付けの判断や掃除ができなくなる
②病気やケガ、気力、体力の低下
③セルフネグレクトに陥っている可能性がある
④精神疾患を患っている
⑤物(=思い出)を捨てるのに罪悪感を感じている
⑥誰にも迷惑をかけたくないという思いが強く、片付けや掃除の手伝いを頼めない
一つずつ説明します。
認知症が進行して片付けの判断や掃除ができなくなる
ゴミ屋敷の発生は認知症と深い関係があります。
まずゴミの分別の判断がしづらくなり、違う種類のゴミを一緒に袋に入れてまとめて出してしまうことがたまに起こります。
最初は良いときと悪いときがあり、本人も「うっかりミス」と考えてあまり気にしません。
しかし、ミスが続き、正しい分別はおろか、収集日の日時・曜日の認識ができなくなり、そのうちにゴミ出し自体を忘れてしまうようになります。
高齢者でなくとも、ゴミカレンダーを確認しないと何に該当するゴミかわかりにくい物もあり、高齢者にとっては正しい分別が徐々に難しくなるのは当然のことかもしれません。
病気やケガ、気力、体力の低下
本人の意思に反して、病気やケガによってをゴミ出しや掃除ができなくなることがあります。
筋力だけではなく視力や聴力も衰えてしまうので、自然とやる気が落ちてくる高齢者もよく見られます。
体を思うように動かせず、掃除や片付け、ゴミ出しを若い頃のように機敏にできなくなって気落ちすることは、年齢を重ねるに連れて顕著になります。
セルフネグレクトに陥っている可能性がある
セルフネグレクトを直訳すれば自己放棄、つまり、自分自身の体調や健康、衛生面をはじめ、生活全体を気にしなくなることです。
下記のような、日常生活を送るための行為をしなくなります。
・トイレで排泄をする
・お風呂に入る
・食事を取る
・外出をする
もちろん掃除や洗濯、ゴミ出しもしません。
セルフネグレクトが原因の場合、ゴミ屋敷になることだけが問題ではなく、生活を維持するための行為を一切しなくなるため、孤独死を招いてしまうおそれがあります。
精神疾患を患っている
認知症以外に高齢者宅のゴミ屋敷化に影響するのが、下記のような精神疾患です。
・うつ病
・ためこみ症
・統合失調症
・ADHD
・アルコール依存症
本人は自覚しづらい病気なので、周囲の方が少しでも思いあたりそうと感じたら、一緒に病院へ行って受診してもらうなど早めに対処するようにしましょう。
物(=思い出)を捨てることに罪悪感を感じている
高齢者は戦時中や戦後の物がない時代を経験しており、古い物を大切に使っていたり、大事にしまっていたりしている人が多くいらっしゃいます。
不要な物でも「またいつか使うかもしれない」「置いておけば役に立つ」と思って自宅にため込んでしまうのです。
もったいないという気持ちが若い世代と比べて相当強いので、ゴミ屋敷化を加速させてしまう傾向にあります。
誰にも迷惑をかけたくないという思いが強く、片付けや掃除の手伝いを頼めない
高齢者は、自分ができなくなったことを誰かに頼むと迷惑をかけるのではないかと考えてしまうようです。
家族や気心の知れた人にもゴミ出しや掃除の手伝いを頼めず、無理をして病気の悪化や気力の低下を引き起こしてしまい、結果的にゴミ屋敷化を招いてしまうのです。
ゴミ屋敷が高齢者に及ぼす被害
高齢者の自宅がゴミ屋敷になると、どのような被害、影響が起きるのでしょうか。
一般的によく言われているのが、次の4点です。
①病気の発症、転倒などケガのリスクが高まる
②孤独死の危険性
③火災のリスク
④近隣トラブルに発展する恐れがある
どれも深刻な影響をもたらします。
ゴミ屋敷にならないように、リスクを考慮して対策を講じる必要があります。
病気の発症、転倒などケガのリスクが高まる
洗っていない食べ物や飲み物の容器が部屋の中に散乱していれば、生ゴミの悪臭が部屋に充満し、臭いに引き寄せられてハエやゴキブリなどの害虫と、その害虫を捕食するネズミなどの害獣が発生します。
不衛生極まりない環境で、病気を引き起こしやすくなります。
様々な病原菌を持つ害虫や害獣を媒介して病気になる可能性が高まりますが、病気になっても自ら病院を受診しない限り、体調は悪化傾向をたどります。
また、転倒のリスクも高まり危険です。
高齢者は平坦な床面でもバランスを崩して転倒することも珍しくありません。
それにもかかわらず、更に足元が大量のゴミに覆われていると、転倒のリスクは格段に増えます。
転倒して動けなくなり、助けを呼べず、そのまま孤独死してしまうことも少なくないのです。
孤独死の危険性
ゴミ屋敷は面倒くさがりな人のように性格的な要因だけで作られるのではありません。
超高齢化社会である日本では一人暮らしの高齢者が多く、昭和時代のように親密な近所付き合いもなくなり、隣近所の住人とのつながりが希薄になったことから孤独死は誰の身にも起こり得るほど身近な存在です。
ゴミ屋敷の問題は孤独死とも関連が深いため、ゴミ屋敷条例を制定している自治体もあるほどです。
孤独死が発生し、遺体の発見が遅れた場合は特殊清掃が必要になります。
火災のリスク
ゴミをため込むと、火災の危険性も増します。
たまったゴミや害虫の補色を目的にネズミが大量発生すると、電気コードやプラグをかじられるおそれがあります。
コンセントにホコリがたまってトラッキング火災が起きる可能性も否定できません。
東京消防庁の調査報告書によれば家庭電器製品が原因の火災発生が多く、コンセントが86件、差し込みプラグが82件、コードが53件(いずれも令和3年の発生数)と、コンセント周りに多くの危険が潜んでいるのがわかります。
ゴミ屋敷は特に多くのゴミが堆積しているので、火災が発生すると家の中のあらゆるゴミに火が燃え移って広がり、大火災に発展する可能性が極めて高く、非常に危険です。
近隣トラブルに発展する恐れがある
ゴミ屋敷は住居者本人だけの問題ではありません。
ゴミが堆積すると異臭や大量発生した害虫・害獣による被害が近隣住民にまで及びます。
近隣住民との関係が悪化しトラブルになるのを防ぐためにも、解決に向けた速やかな行動が望まれます。
高齢者の自宅をゴミ屋敷にしないための対策
ゴミ屋敷にならないように気をつけておくことはあるのでしょうか。
たとえ些細なことであっても構いません。
できることがあれば、ぜひ取り組んでみましょう。
ゴミ屋敷の危険性を知ってもらう
ゴミ屋敷に潜むリスクを理解してもらいましょう。
高齢者は環境の変化をあまり望まないので、「安全な暮らしのためにゴミを片付ける」と処分をする明確な理由を伝えることが重要です。
・転倒をしてケガをするリスクが減少する
・衛生的な環境のもと、健康な生活を送れる
このように「危険から守るために処分をする」という気持ちを伝えましょう。
訪問や連絡する回数を増やす
親族や近隣住民との交流が少ない高齢者の場合は、こまめに訪問や連絡をしましょう。
他者と触れ合う機会が少なければ、「家の中にゴミをため込んでも困るのは自分だけ」と思って片付ける気力もなくしてしまいます。
誰とも会わなければ外見を気にする必要がないので、身なりを整えようとしなくなります。
やる気が何も起こらず、ゴミを片付ける気力もなくなるでしょう。
また、認知機能の低下も進行しやすく、ゴミ屋敷化しやすくなります。
他者の目を意識させることによって、ゴミをため込ませない、気力を削がない環境を作ってあげるようにしましょう。
訪問時に掃除やゴミ捨てを手伝ったりお茶を飲んだりして、高齢者を孤立させないように安心感を与えてあげることが大切です。
例えば、不用品やゴミをため込んでいる人にはそれらを宝物のように思っており、孤独感や不安などを埋めるために手元に残している方もいらっしゃいます。
そうした場合は処分を促す前に、気持ちを丁寧に聞いてあげましょう。
地域社会との交流の機会を増やす
高齢者の孤立は、生きがいの低下が要因と考えられています。
地域の催しや趣味の会に参加して知り合いを増やしたり、会に参加するために毎週決まった時間に出かけたりすれば暮らしのモチベーションも上がります。
地域には様々なサービスや社会参加できる場が提供されているので、無理にない範囲で利用や参加を促すこともゴミ屋敷化を防止するうえで非常に効果的です。
例えば、大阪市では、各区の社会福祉協議会に「見守り相談室」が設置されており、孤立する高齢者宅への訪問支援を行っています。
ご自身の親や親戚が高齢で独居生活を送り、近所に知り合いがいないようなら、自治体のサービス利用を検討するように話をしてみてもいいかもしれませんね。
介護サービスを利用する
こまめな訪問が難しい場合は、介護サービスの利用も効果的です。
他者との最低限の交流が保たれますし、ゴミ出しなどの生活面のフォローなども受けられるなど、ゴミ屋敷化を予防できます。
第三者が家の中に入るので片付けや整理をする意識が強まります。
介護サービスを利用する場合は、要介護認定を受けなければなりません。
まずは自治体に相談しましょう。
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もしもゴミ屋敷になってしまったら
対策を講じる前にゴミ屋敷になってしまったら、状況に応じて次の方法を試みてください。
ここで大事なのは、目の前にあるゴミを片付けるだけでなく、再発しないように防止策をあわせて考えることです。
自分たちで片付ける
家族や親族で片付ける方法です。
大きなゴミがなくて量も少なく、片付けに協力してくれる家族や親族が多い場合に有効な方法です。
このときに注意点すべき点は次の通りです。
・ゴミをためてしまった高齢者を責めない
・一方的にゴミを捨てず、本人が納得してから処分する
メリット
・片付けに費用を安く抑えられる
・他人の関与がないので安心感がある
デメリット
・時間がかかる
・途中で挫折して片付けられない可能性もある
・片付け後の清掃や消臭作業も必要になる
・害虫が発生していた場合は駆除しなければならない
自治体に相談する
自宅内の各部屋でゴミが天井近くまで埋まっていたり、自宅の庭や公道付近にまでゴミが溢れ出たりしているような状態であれば、ゴミ屋敷条例を制定している自治体ではアドバイスをもらえることがあります。
ただし、片付け自体は自分たちで何とかしなければならない場合が多いため、情報提供が得られる程度に考えていたほうがいいでしょう。
メリット
・アドバイスをしてくれる
・利用可能なサービズなどの情報が得られる
デメリット
・自治体によって対応が異なる
・強制介入などで片付けをする権限がない限り、根本的な解決にはならない
ゴミ屋敷片付けの専門業者に依頼する
もっとも簡単で手をかけずに解決する有効的な手段は、ゴミ屋敷片付けの専門業者を利用することです。
ゴミが大量にあり、さらに害虫や異臭が発生していれば、素人の手には到底負えません。
ゴミ屋敷の片付けはゴミの処分だけでは収まらず、消臭作業や清掃作業、害虫駆除をセットで考えておく必要があります。
専門業者にはこれらの作業をすべて依頼でき、ほとんどの業者では希望に応じて部屋のリフォームなど原状回復工事も請け負ってくれます。
業者への依頼を検討したほうが良いケース
・片付けに協力してくれる人が足りない
・運ぶのに苦労する大きなゴミがある
・いろんな種類のゴミが混在していて分別できない
・ゴミの量が多い
・異臭や害虫が発生している
・家の中をゴミ屋敷化する前の状態に戻したい
このような状態の場合、普段行っている家庭の掃除では対処できないため、専門業者への依頼が必須となります。
費用はそれなりにかかりますが、時間と手間を省いて確実にきれいに片付けてくれるので精神的な負担を抑えられます。
人に迷惑をかけたくないという心理はゴミの片付けを拒む要因にもなりますが、業者に片付けを依頼するのであれば説得もしやすくなるかもしれません。
メリット
・片付け後の掃除もしてもらえる(*ハウスクリーニングはオプションサービスの場合があり)
・害虫を駆除してくれる
・消臭や除菌作業、リフォームなども依頼できる
・時間と手間がかからない
デメリット
・費用がかかる
ゴミ屋敷片付け業者を選ぶポイント
ゴミ屋敷は悪臭や雑菌が発生している場合が多いため、消臭・除菌作業ができる業者を利用するのがおすすめです。
ゴミを片付けた後の床や壁に染み付いた汚れやキズの修復、水回りのリフォームなども一緒に任せられる業者であればなお良いでしょう。
皆さんが気になる費用面では、追加料金の請求はしないと明示している業者が安心できます。
ニーズの高まりとともにゴミ屋敷片付けの専門業者は増加しているので、依頼先の選定も容易ではありません。
どの業者でもあまり変わり映えしないと思うかもしれませんが、ぜひ実績にも注目してください。
業者のホームページに掲載されている作業実績や利用者の感想によく目を通して作業内容や費用を確認し、安心して任せられそうかどうかを見極めましょう。
実績が十分にあれば、経験やノウハウも豊富で質の高い結果を期待できます。
また、実績が豊富にあるということは数多くの業者の中から選ばれるだけの理由があり、信頼できる業者である可能性が高いと推測できます。
信頼とは作業内容は当然ながら、貴重品の返却作業や近隣住民への配慮など、本来の作業以外でも優れているからこそ得られるものです。
安心して任せられる業者を選びたいなら、必ずホームページに目を通し、不明点があれば問い合わせましょう。
業者選びのポイント
・リフォーム、ハウスクリーニングに対応している
・見積額が明確で、追加料金の請求は一切しないと明示している
・実績が豊富にある
まとめ
ゴミ屋敷は高齢者と密接に関係しています。
高齢者が家をゴミ屋敷化してしまうには、様々な原因があります。
・認知症が進行して片付けの判断や掃除ができなくなる
・病気やケガ、気力、体力の低下
・セルフネグレクト
・精神疾患
・物(=思い出)を捨てることに罪悪感を感じている
・誰にも迷惑をかけたくないという思いが強く、片付けや掃除の手伝いを頼めない
高齢者にとってゴミ屋敷はリスクが非常に多く、速やかな対処が求められます。
①病気の発症、転倒などケガのリスクが高まる
②孤独死の危険性
③火災のリスク
④近隣トラブルに発展する恐れがある
具体的な悪影響を説明することも大切ですので、頻繁に訪問や連絡をしてコミュニケーションをとるようにしましょう。
ゴミ屋敷化させないように予防対策を講じるときは、ゴミ屋敷となった場合の対処方法もあわせて考慮し行動することが大切です。
自分たちだけで問題を解決するのが難しい場合は、プロの専門業者や自治体に相談をすることもできます。
決して無理をせず、早めの解決を心掛けましょう。