片付け業者に頼むのは恥ずかしい!?ゴミ屋敷住人の心理と業者の本音
お役立ちコラム

自宅は住む人にとって素の自分になれるプライベート空間です。
個人差はあれど他人がその空間に入ることに多少の抵抗感を持つことは一般的な感覚です。
それがゴミ屋敷・汚部屋の住人であれば、さらに複雑な心理が働いて、業者への依頼をためらってしまうのは当然のことでしょう。
このコラムでは片付け業者に頼むのをためらうゴミ屋敷・汚部屋の住人の心理や、それに対する業者の本音、周囲にばれずに片付ける方法、ゴミ屋敷を放置するリスクなどを詳しくご紹介します。

この記事の監修者

小西 清香氏(整理収納アドバイザー)

小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)

元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。

ゴミ屋敷・汚部屋の住人の心理

ゴミ屋敷・汚部屋の住人の心理

ゴミ屋敷・汚部屋の住人で、人に助けを求めたり、業者に片付けを依頼するのをためらう人は多いです。
そこにはどのような心理が働くのか、詳しく見ていきましょう。

失望される、信用を失う恐怖

友人・知人に知られ軽蔑されるかも、皆が離れて行ってしまうかも、といった不安や恐怖。
「他の人は当たり前にできることなのに自分はできない」と感じる羞恥心や無能感。

 

近隣に知られることでの不利益

噂が広まる、退去を迫られるなど、近隣との関係悪化への懸念。

 

異性に室内を見られることに対する抵抗感

異性を室内に入れることや散らかっている状態を見られることに対するストレス。
趣味の物など、個人的なものを知られたくないという思い。

 

片付け業者の本音は?

片付け業者の本音は?

ゴミ屋敷・汚部屋の住人が感じる羞恥心や不安感に対して、片付け業者はどんなことを感じているのでしょうか。
この章では業者側の本音をご紹介します。

 

・自分たちにとっては当たり前の光景なので気にしていない
・やれば確実に片付くし、部屋がきれいになると達成感を感じる
・お客様からの感謝の言葉や笑顔が見られて嬉しい
・実は過去に自分自身(または身近な人)がゴミ屋敷の当事者だったので、同じように悩む人を助けたい
・もし悩んでいるなら、これ以上酷くなる前に誰かを頼って欲しい
・依頼されるのは商売として単純に有難い
・スタッフには男性も女性もいるので、異性に対して抵抗がある場合は相談して欲しい

 

ゴミ屋敷の片付け専門業者は、今や全国に1,000社以上あるといわれており、つまりそれだけ需要があるということです。
国の調査によると、全国1,741市区町村内でゴミ屋敷事案を認知しているのが全体の38%、確認されたゴミ屋敷件数の合計は5,224件だったそうです。
しかし、実例として紹介しますがゴミ屋敷の片付け業者であるプログレスに寄せられる相談件数は年間で10,000件にも上ります。
全国展開しているとはいえ、1社だけでもそれだけの相談が寄せられるということは、行政が把握しているゴミ屋敷・汚部屋の件数は氷山の一角に過ぎないということです。

 

片付け業者はそれだけ日常的にゴミ屋敷・汚部屋を目の当たりにしているので、”恥ずかしいこと”ではなく”解決すべきこと”と捉えています。
また、意外にも自分自身や身近な人が片付けられずに悩んだ経験を持つ人も多く、当事者の気持ちを慮ってくれます。

 

業者の人も、元々は同じようにゴミ屋敷・汚部屋に悩んでいた人かもしれないと思えば、相談したり依頼したりする心理的なハードルは下がるかもしれませんね。

 

*関連サイト
令和4年度「ごみ屋敷」に関する調査報告書(環境省環境再生・資源循環局 廃棄物適正処理推進課:令和5年)

 

まさかこの人が!?意外なゴミ屋敷の住人

まさかこの人が!?意外なゴミ屋敷の住人

片付けられない人に対する世間の認識は「片付けが苦手な人」「だらしない人」「無頓着な人」というものが多いですが、実際にはそういった人はごく一部のようです。
「過度な疲労やストレスを抱えている」「ADHDなどの精神疾患」「認知症」など、片付けられない人には多様で複雑な事情があります。
周りからは「まさかこの人が!?」と思われるような人でも、自宅がゴミ屋敷・汚部屋だという人は案外多いものです。
この章では、意外なゴミ屋敷・汚部屋の住人例をご紹介します。

 

仕事ができる人

仕事を効率的にこなし成果を上げている人は、私生活も充実して部屋も片付づいているイメージを持たれがちですが、実際のところ、仕事のできるできないと部屋のきれいさはあまり関係がありません。
炊事や掃除などの家事が苦手で、コンビニやデリバリーを多用して部屋を散らかしてしまう人もおられます。

 

お金持ち

お金持ちでもゴミ屋敷に住んでいる人はいます。
この場合多いのは、ゴミというよりも使っていない物が大量にあるケースです。
必要なものをどこにしまったかわからなくなると、探すよりも買う方が早いと考えてすぐに購入し、結果として物に溢れてしまいます。

 

真面目で責任感が強い

何事にも真面目に取り組む、周りからの信頼の厚い人は、他人の期待に応えようと自己犠牲をいとわない傾向があります。
無意識に無理をし過ぎてしまい、自分の事は後回しに。
気付けば自宅が汚部屋になっていた、ということも少なくありません。

 

これらの特徴を持つ人たちは、「自己管理できそう」「きれい好きそう」という周りからのイメージと現実の自分とのギャップに苦しみ、誰かに相談することもできずに抱え込んでしまうようです。

 

*関連コラム
ゴミ屋敷住人はなぜ捨てないのか?孤独感などの心理状態が影響!?

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業者が実践する「近隣にばれにくい片付け方法」

業者が実践する「近隣にばれにくい片付け方法」

いざ片付け業者に任せる決心をしても、次に気になるのは「周りの人たちにばれるのではないか」ということではないでしょうか。
このような相談が寄せられることは多いらしく、業者側も状況に応じて様々な対策を講じているようです。

人通りが少ない時間帯を選ぶ

地域性なども考慮して、依頼者と相談してできるだけ人通りの少ない時間帯を選んで作業を行う。

 

静かな作業

大きな物音を立ててしまうと、周囲にばれる可能性があるため静かに作業を行う。

 

搬出時に荷物の中味が見えないようにする

中味の見えないビニール袋や段ボールなどを使用してゴミを搬出する。

 

少数精鋭で作業にあたる

大人数で作業するとばれやすいので、少人数で片付けを行う。

 

業者だと気付かれない工夫

会社のロゴが入ったユニフォームや車両を使わないようにする。

 

 

少人数での作業、一旦ゴミを段ボールに詰めてからの搬出など、ばれないための対策をしてもらう場合、通常よりも作業時間は長くなりますし、その分費用も高額になることがあります。
ばれないための対策も業者ごとにやり方が異なりますので、どのような対策を行ってくれるのか、それによって費用はどう変わるのかを事前に確認しましょう。

ゴミ屋敷・汚部屋を放置するリスク

ゴミ屋敷・汚部屋を放置していても良いことは1つもありません。
ここでは放置するリスクを解説します。

健康被害

ホコリやカビ、ダニの死骸やフンによるアレルギー症状に悩まされたり、食中毒や感染症にもなりやすくなります。
また物が多いことでぶつけたり躓いたりなど、怪我のリスクも高くなる他、うつ病などの精神疾患に陥ることもあります。

害虫・害獣被害

害虫や害獣にとってゴミ屋敷は最高の環境です。
寄ってきて住みつき、繁殖するだけでなく、近隣宅にまで侵入していくようになります。

 

火災

差しっぱなしのコンセントと電源プラグの間に隙間ができ、そこにホコリがたまってトラッキング現象を起こし火災になるケースがあります。
ゴミが多いため燃え広がるのも速いうえに、物に遮られて逃げ遅れてしまうこともあり、被害が拡大しやすいのが特徴です。
また、外にまでゴミが溢れている状態の家屋は放火犯に狙われやすくなるそうです。

 

近隣との関係悪化

悪臭や害虫被害が周辺にまで及ぶと、近隣との関係性の悪化は否めません。
苦情が来たり、賃貸の場合は退去を求められる可能性もあります。

 

*関連コラム
部屋が汚いとこんなにもデメリットが!汚部屋脱出でQOLを上げよう

 

まとめ

世間では、片付けや掃除はできて当たり前で、できない人は”ダメな人”という風潮が強いため、他人に相談することや業者に依頼することを恥ずかしいと感じてしまうのはある程度仕方のないことだと思います。

しかし、筆者自身の経験や多くのゴミ屋敷事案を拝見してきて感じるのは、自分のおかれた環境や事情が変われば、ゴミ屋敷・汚部屋は誰にでも起こり得るのだということ。
そして実際、悩んでいる人は驚くほど多いということです。
この事実を知ったからといって羞恥心をなくすことはできないでしょうが、「誰にでも起こる」「同じように悩んでいる人もたくさんいる」と思うと少し気持ちが楽になりませんか?

 

それに、片付け業者は使命感を持って業務に取り組んでいて、「お客様に頼られて嬉しい」「早く悩みから解放されて欲しい」というのが働く人達の本音です。
世の中の仕事はすべて、得意なことやできることを、苦手な人やできない人に提供することで成り立っています。
片付けが苦手な人や事情があってできない人が、片付け業者に依頼することは、レストランに行ってご飯を食べるくらい普通のことだと筆者は思います。
さらにいえば、恥ずかしいと感じる気持ちがある人は、1度きれいに片付けたらそれを保とうと努力できる人でもあります。
もし今現在、当事者としてお悩みなら、これを機にゴミ屋敷・汚部屋から卒業して、新しい自分として再出発しましょう。

この記事の執筆者

執筆者

株式会社プログレス
編集部 S・A

遺品整理の経験から不用品を整理する重要性を実感。
片付けについて専門的なことを学び、困っている人の助けになりたいとプログレスへ入社。
「知識のない人にもわかりやすく伝える」を信条にプログレス各種サイトのコラムの執筆を担当する編集部きっての女傑ライター。

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