日本中のゴミ屋敷が、住んでいる人が自ら出したゴミだけで作られているとは限りません。
ゴミ捨て場から他人が出したゴミを拾って、集めているうちにゴミ屋敷を作ってしまった人も存在します。
他人が捨てた価値のないゴミを拾って集める心理とは一体何かご存知でしょうか。
今回はゴミを集める人の心理や、ゴミを集める行動への対処方法について解説いたします。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
ゴミを集める人の心理とは?
ストレスや不安を紛らわせるために集めている人から、孤独感や寂しさを埋めている人、精神疾患を持っている人など、ゴミを集める人の心理状況は様々です。
ストレスや不安を解消したい
ストレスや不安を抱えている人は、ゴミを集めて心の安定や安堵感を得ようとします。
お部屋のスペースが物で満たされる充実感だけでなく、ゴミを集めれば何かに取り組んでいるという達成感も得られます。
大量に集めた物を見て「こんなに物を持っている」と優越感を満たしている人もいます。
孤独感や寂しさを埋めている
大切な家族を亡くした直後、一人きりで生活を始めても孤独や寂しさを感じてしまいます。
話す相手が近隣にもおらず、家を訪ねてくる人もいないと、孤独感に襲われてしまいます。
社会との接点が薄れ、孤独感に悩む高齢者は珍しくありません。その孤独感や寂しさを埋めるために、ゴミを集める行動をとる場合があります。
また、誰かに気づいてもらいたい、心配されたいと思いゴミを集める人も存在します。
まだ使えると感じてしまう
捨てられたゴミを見ると「まだ使える」「もったいない」と感じ、持ち帰ってしまうケースです。
一般の方であればゴミを持ち帰る行為に、恥ずかしさや他人の視線を感じ、自制ができるでしょう。しかし、ためこみ症や認知症により判断能力が低下すると、周囲の注目をあまり気にせず、ゴミを持ち帰る行動を起こします。
また、ゴミを集める人の年齢によっても、心理状況は異なります。
・年齢が低い場合
年齢が低い場合、まだ使用できると思った物をゴミ捨て場から拾ってきて使用したり、フリマアプリなどを利用して転売している場合があります。
再び使ったり売ったりする目的がなくても、強迫性障害やためこみ症の人は、ゴミを拾って集める行為を繰り返してしまいます。
・年齢が高い場合
認知症や統合失調症などの精神疾患を持っている方は判断能力が低下しているため、物を集めても整理整頓や処分ができず、ゴミ屋敷を作ってしまいます。
また、症状の進行度によってはゴミを外から持ち帰る行動をとるようになります。
家族や親しい人が亡くなり、人生の楽しみや生きがいを失ってしまうと、まだ使える物を探して拾い集める行動に生きがいを見出す場合もあるようです。
ためこみ症とは?
外出先から物を持ち帰り、整理整頓をせずに次々と溜め込み続ける「ためこみ症」という病気があります。
ためこみ症とは、価値の有無にかかわらず大量の物を集め、整理整頓や処分ができないまま部屋の中に溜め込んでしまう症状です。
認知症や統合失調症、注意欠陥多動性障害(ADHD)でも物を溜め込む症状はありますが、医師によりどの症状にも該当しないと判断されるとためこみ症と診断されます。
ためこみ症に有効な治療法はまだ確立されていませんが、医師による薬物療法とカウンセリングで対処します。
*参考資料
【「その収集癖「ためこみ症」かも? 若年で発症、加齢でごみ屋敷も」西日本新聞】
筆者の友人はあるアイドルのファンで、グッズやDVD、写真集などを大量に所有しています。廊下をスムーズに移動できないほどアイドルグッズが溜められており、彼女もためこみ症なのではないかと思っています。
友人へグッズの量について話を聞いてみたところ「ファンとして発売されたグッズはすべて集めたい」と言っていたため、ためこみ症の症状がある人は集めることに義務感を覚えているのかもしれません。
認知症の方がゴミを集める理由とは?
認知症の症状として、外出中に粗大ゴミや紙くずなどを拾って集めるケースがあります。
本人は「まだ使えるものだ」と判断して集めているため、他の人が無断で処分すると興奮させたり、攻撃的にさせてしまう場合があります。
認知症の方は判断能力の低下や記憶障害により、これまで問題なくできていたことができなくなってしまう状況に不安を感じてしまいます。
不安や寂しさを埋めるため、部屋の中を物でいっぱいにしている例もあります。
また、過去に尿失禁をしてしまった場合は、失敗に備えてトイレットペーパーやティッシュを大量に溜めてしまう場合もあるようです。
筆者の母方の祖母は認知症で、ゴミ箱に捨てたティッシュを拾ってポケットや棚の中に収納する癖がありました。黙って処分すると行動が悪化してしまうと介護士さんに教えていただいたため、祖母に捨ててもいいか声を掛けてから処分していました。
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捨てられた物を持ち帰ると犯罪になる?
ゴミ捨て場に捨てられた物を持ち帰ると、窃盗罪や条例違反として実刑を受ける可能性もあります。
窃盗罪
ごみ捨て場に投棄された物は、一般的に所有権が放棄された物と見なされます。
しかし、地域の条例によっては廃棄物の所有権が市区町村に帰属すると規定されている場合があります。
このような条例が規定されている場合、ゴミ捨て場に投棄したゴミは自治体の物となるため、無断で持ち去れば窃盗罪になります。
窃盗罪として判決を受けた場合、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
条例違反
自治体によっては、ゴミ捨て場からゴミを持ち去る行為を禁止している場合があります。
条例によってゴミの持ち去りが禁止されている場合、所有権や占有の有無にかかわらず、処罰を受ける場合があります。
*参考資料
【「資源ごみの持ち去りは犯罪になる? 逮捕の可能性について弁護士が解説」ベリーベスト法律事務所 船橋オフィス】
一見、価値がなさそうなゴミでも、無断で持ち帰ると違法になる場合があります。
そのため、ご家族や近隣にお住まいの方でゴミをゴミ捨て場から集めている人がいれば、
注意喚起をしたり、自治体に相談して対処してもらうのが望ましいでしょう。
ゴミを集める人にはどう対処すればいい?
集めたゴミが家の外へ溢れて周囲の人に迷惑を掛けている場合は声を掛け、高圧的な態度をせず相手と話してみましょう。
寂しさや不安でゴミを集めている可能性もあるため、集めている理由について話を聞くのも有効的でしょう。
注意しても止めてもらえない、あるいは攻撃的な対応をされた場合は行政機関に相談をして対応してもらいましょう。
認知症などの精神疾患の症状としてゴミを集めている場合は、ご家族のサポートだけでなく、適切な専門医の受診やカウンセリングも必要です。
一人では対処できないと感じた場合は、無理をせず地域の介護支援施設や介護サービスなどへ相談しましょう。
ゴミ屋敷片付け業者によってはゴミを片付けるだけでなく、再びゴミを溜めないよう改善策を提案してくれる業者も存在します。
過去の作業経験を活かし、効果的な改善策を提案してもらえるため、ゴミ屋敷の片付けとあわせてスタッフの意見を聞いてみるのもよいでしょう。
まとめ
ゴミを拾って集める人は、様々な理由を抱えています。その人の心理を理解すれば、より効果的な対処や支援を行えるでしょう。
ゴミを集めないよう説得したり、対処をしても止めてくれない場合は、医師による診察やボランティアなど専門家の力を借りるのも重要です。
集められたゴミの片付けが手に負えない場合はゴミ屋敷片付け業者に依頼するなど、一人で抱え込まず周囲の人に頼りながら問題を解決しましょう。