ゴミ屋敷で死亡する人が多いのはなぜ?孤独死が起きる原因とは
お役立ちコラム

あまり知られていませんが、ゴミ屋敷と孤独死には深い関係があります。
超高齢化社会を生きる私たちにとって、ゴミ屋敷で死亡者が出る実状に目をそむけるわけにはいきません。
今回は、ゴミ屋敷で死亡する人が多い原因と、孤独死に至る理由を説明します。
ゴミ屋敷で孤独死させないための対策としても、どうぞ参考にお読みください。

この記事の監修者

小西 清香氏(整理収納アドバイザー)

小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)

元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。

ゴミ屋敷で孤独死は起きやすい

ゴミ屋敷で孤独死は起きやすい

孤独死を他人事に捉えている人は多いかもしれません。

 

身内や知人で経験したことがなければ自分に降りかかることはないと考えてしまうので、特に高齢者のいない世帯や若い人にとっては孤独死の問題は無縁のように感じるでしょう。

 

しかし、日本の孤独死の実状を知れば、避けては通れない問題と危機感を抱くのではないでしょうか。

 

孤独死者数は年間約26,000件

内閣府がまとめた資料『東京都福祉保健局東京都監察医院「東京都23区内における一人暮らしの者の死亡者数の推移」』によると、平成15年から平成28年のわずか13年で孤独死による死亡者は2.5倍に増加しています。

 

ニッセイ基礎研究所がこの資料と全国の人口動態統計データを参照にして65歳以上の孤独死者数を推定したところ、なんと、一年間におよそ26,000人もの方が孤独死で亡くなっていると発表されました。

 

これほどの数の方が孤独死をしていると推測されるのはあまりにも衝撃的ですが、現代の日本社会にはそれだけ孤立している人が多いという現実を痛感します。

 

ゴミ屋敷住人には孤独死の条件が揃っている

 

ひとり暮らし

 

ゴミ屋敷の住人はひとり暮らしの割合が高いのが特徴です。

 

 

出典:厚生労働省『世帯数と世帯人員の状況』

 

出典:横浜市『第5回 横浜市建築物等における不良な生活環境の解消及び発生の防止に関する審議会』

 

 

ゴミ屋敷住人の約65%がひとり暮らしをしています。

 

ゴミ屋敷といえば戸建ての住宅を思い浮かべる方も多いと思いますが、マンションやアパートの一室がゴミ屋敷になっているケースも非常に多く、そのほとんどが単身世帯です。

 

ゴミ屋敷の住人はひとり暮らしが多く、孤独死が起こりやすい生活環境にいるのがわかります。

 

 

心身に疾患を抱えている

 

ゴミ屋敷の住人の多くがセルフネグレクトなど心身に何かしらの疾患を抱えています。

 

しかし、社会から孤立していたり、経済的に困窮していたりするために、自ら支援やサポートを求められずにいるのです。

出典:公益財団法人日本都市センター『自治体による「ごみ屋敷」対策 ー福祉と法務からのアプローチー』

 

 

また、ゴミ屋敷に住み続けると衛生状態や健康状態が悪くなり、突発的な疾病にかかりやすくなります。

 

 

異変に気づかれにくい

 

出典:一般社団法人日本少額短期保険協会『第6回孤独死現状レポート』

 

 

ゴミ屋敷の住人は、日頃から近隣住民とトラブルを起こしていたり、コミュニケーションをとっていなかったりするケースも少なくありません。

 

家族や知人とも疎遠になっている場合は、音信不通を心配して訪問してくる人も残念ながらいないでしょう。

 

また、普段から異臭や害虫の発生源になっていることも多いため、ゴミ屋敷の中で事故が起きたり、病気で倒れたりしていても長い間誰にも気づかれにくいといえます。

 

ゴミ屋敷で孤独死が起こる原因

ゴミ屋敷で孤独死が起こる原因

ゴミ屋敷が死亡にまでつながる理由は、何が原因なのでしょうか。

 

どのような危険があるのかを詳しく説明します。

 

ゴミ屋敷ならではの事故の危険

 

転倒事故

 

自分の背丈ほどまで高く積まれたゴミの中を移動中にバランスを崩して転倒し、倒れた際に打ち所が悪くて意識を失うような事故は少なくありません。

 

骨折などをして動けなくなったり、多量の出血で意識を失ったりしてそのまま起き上がれなく誰にも助けを呼べないまま亡くなるケースもあります。

 

ゴミ屋敷で発生した孤独死の現場検証で意外に多いのが、ゴミ山での転倒と思われる事故です。

 

 

火災

 

差し込んだままのプラグにホコリがたまったり、タバコの不注意で火災が起きたりする場合があります。

 

一度火が発生すると室内のゴミにすぐ燃え移り、大規模な火災に発展する危険も否めません。

 

また、ゴミの中に中身の残っているスプレー缶などが埋もれていれば、突然の爆発もあり得ます。

 

このようにゴミ屋敷では火災の危険性が一気に高くなるのです。

 

 

急な疾病

 

ゴミ屋敷での孤独死は夏場に装荷する傾向があり、7月と8月だけで全体の2割を占めています。

 

出典:一般社団法人日本少額短期保険協会『第6回孤独死現状レポート』

 

 

夏場に死亡事故が多い原因の一つとして考えられているのは、エアコンのリモコンをゴミの中で紛失してしまい、猛暑の夏場に熱中症を起こしてそのまま意識を失ってしまうケースです。

 

また、生活に困窮している人は電気代を滞納しているケースもあり、エアコンを使えないまま猛暑をゴミの中で過ごしている場合があります。

 

冬場はこたつの中だけで生活しており、無意識のまま脱水状態に陥って意識を失い、そのまま亡くケースもよくあるそうです。

 

異変が起きても外から気づかれにくい

 

死臭に気づかれない

 

ゴミ屋敷ではない場所で孤独死が起きれば、それまでに嗅いだことのない臭いが漂うため、明らかに周囲が異変に気づきます。

 

しかし、ゴミ屋敷では様々な臭いが立ち込めており、死臭が紛れてしまいがちです。

 

また、ゴミ屋敷住人には窓を閉め切っている人も多く、反対に近隣住民も悪臭を避けるために窓を開けないようにしていることもあるため、臭いそのものに気づかないという事情もあります。

 

 

害虫の増加に気づかれない

 

孤独死をすれば悪臭とともに害虫が発生しますが、ゴミ屋敷はすでに害虫の巣窟となっているため、多少増加した程度では近隣住民も異変を感じにくいのです。

 

 

音や声が届きにくい

 

ゴミ山からの転倒やゴミが雪崩のように崩れ落ちて大きな音がしたり、助けを呼ぶために声を出したりしても、大量のゴミが音を吸収して外に届きにくいという特徴がゴミ屋敷にはあります。

 

また、ゴミ屋敷住人と近隣住民との間ですでにトラブルになっているケースも多く、たとえ何かの音や声が聞こえたとしても、関わりたくないとやり過ごされてしまうことも考えられます。

 

ゴミ屋敷の始まりから死亡するまでのプロセス

ゴミ屋敷の始まりから死亡するまでのプロセス

ゴミ屋敷の発生から死亡に至るまでを、わかりやすく4段階に分けて説明します。

 

第一段階:ゴミ出しができなくなる

認知症など加齢による原因や精神障害などによってゴミの判別ができなくなったり、自治体のゴミ出しルールを理解できなくなったりして起こります。

 

また、ケガや病気が原因で自分の意思に反してゴミ出しができず、ため込んでしまうケースもあります。

 

その他にも経済的な理由から粗大ゴミの回収費用を支払えない人や、経済的に困窮していなくても「ゴミを捨てるためにお金を使いたくない」という価値観を持っている人もおり、人によって理由は様々。

 

後者の場合は、家電製品が壊れても処分せずに新品を購入したり、人が出している粗大ゴミを拾ってきて使ったりするケースも見られ、ゴミの増えるスピードが極端に早く、繰り返す傾向があるのが特徴です。

 

 第二段階:ゴミのある生活に慣れる

家の中にゴミがある状態がしばらく続くと、それが当然のこととなり慣れてきます。

 

悪臭を感じなくなるほど感覚が麻痺し、足の踏み場がなくなるほどの圧迫感でも問題なく生活できるようになるのです。

 

誰かが部屋を訪れることもないため片付ける必要もなく、誰にも迷惑をかけていないという視野狭窄に陥ります。

 

第三段階:ゴミの中で病気や事故に遭う

ゴミ屋敷に特有の事故や病気で体を動かせなくなったり、意識を失ったりします。

 

ゴミ屋敷では熱中症や脱水症状になる人が多く、その他にも心筋梗塞や脳梗塞など、血栓による血管のつまりが原因で倒れることもあります。

 

ゴミ屋敷に住むと食生活の乱れや運動習慣の低下によって血液がどろどろになり、血栓ができやすくなるなど、通常の生活環境に比べて身体的なリスクも高まります。

 

第四段階:異変に気づかれないまま死亡する

音や声がしても「いつものこと」と思われて気づかれにくいため、助けが来ません。

 

さらに、死臭や害虫の発生という死のサインも近隣住民にはゴミ屋敷が影響を及ぼしていると考えられてしまい、発見が遅くなって遺体の腐敗が進むのです。

 

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ゴミ屋敷で孤独死させないための3つの対策

ゴミ屋敷で孤独死させないための3つの対策

ゴミ屋敷で孤独死が発生すると、高い確率で腐敗が進みます。

 

孤独死が起きると、悪臭や病原菌を持った害虫を媒体して感染症に罹患するリスクが高くなるだけでなく、周辺の不動産価値まで下げるほどの影響を与えます。

 

また、孤独死で亡くならなくても火事になるなど、ゴミ屋敷化してしまうと、常に危険と隣り合わせの生活なのです。

 

悲惨な事故が起きないよう早めに対策を打っておくことが重要です。

 

取るべき対策は次の3点です。

 

ゴミを片付ける

最優先すべきは、ゴミの片付けです。

 

ゴミ屋敷の片付けは専門業者に依頼しましょう。

業者に依頼すればもちろん費用はかかりますが、片付けの時間を大幅に短縮できます。

 

片付けの最中には大量の害虫が飛び出してくると思われますが、そんな状態で片付けを続けられますか?

 

精神的にも大きなダメージを被りますし、「もう嫌だ!」と投げ出してしまいたくなるはずです。

 

手が出せないと思えば、ゴミ屋敷片付け専門業者に依頼しましょう。

 

効率的にきれいに片付けてくれます。

 

心身状態の改善を図る

ゴミが出せなくなった原因の改善を図ります。

 

福祉サービスの利用や、病院や施設に通わせて人と接触する機会を設けます。

 

状態は個人によって違うため、専門家の意見を仰ぎながら本人の症状と希望に沿ったケアを探しましょう。

 

見守りサービスを利用する

見守りサービスとは、離れて暮らす家族の状態を確認し、状況に応じてサポートしてくれるサービスや商品です。

 

高齢の親が一人で暮らしていると、食事や掃除など日常生活にかかわることから詐欺などのトラブルまで何かと不安がつきまといます。

 

しかし、見守りサービスを利用すれば、気持ちを少し落ち着かせることができるのでおすすめです。

 

見守りサービスの種類もいろいろあるので、活用できそうなサービスの導入を検討してみましょう。

 

 

接触型

 

電気ポット等のスイッチを本人が押すと、離れて暮らしている家族が活動していることを知れることができます。

 

 

非接触型

 

カメラや人感センサーなどで、本人が活動していることを離れた場所からでも知ることができます。

 

異常があれば提供している会社のスタッフが駆けつけてくれるサービスもあります。

 

 

対面型

 

郵便局や電気・水道会社の専任スタッフが、定期的に自宅を訪問して安否確認をしてくれます。

 

即時の宅配業者が配達時にアンプ委確認をして報告してくれるサービスもあります。

 

同居するのが難しかったり、施設への入居ができなかったりする場合は、見守りサービスの利用は異変を察知するのに非常に有効です。

 

ゴミ屋敷化しそうなら業者にすぐ相談を!

ゴミ屋敷化しそうなら業者にすぐ相談を!

ゴミ屋敷の兆候が少しでも見られたら、すぐに業者に相談しましょう。

 

孤独死と関係するゴミ屋敷の対策を行うには、本人や家族だけで抱え込まず、第三者に相談をすることが重要なキーとなります。

 

ゴミ屋敷を自分たちだけで解決するのは困難

前章でも触れましたが、ゴミ屋敷の生活にはケガや病気の危険が伴います。

 

リスクを少しでも早く取り除くためにも、ゴミ屋敷片付け業者に依頼するのが賢明です。

 

命を守るためにもゴミ屋敷は早目の改善が必要!

ゴミが多いからといって死なないなどと軽んじていては本当に危険です。

 

ゴミが散乱していたり、物が溢れたりしている状態は変化の兆候で、居住者の心身の不調のサインかもしれません。

 

ゴミが明らかに増えてきたと思ったら、ゴミ屋敷への入口に差し掛かっていると注意しておいたほうがいいいでしょう。

 

まとめ

ゴミ屋敷で死亡する人が多い原因と対策について説明しました。

 

ゴミが多いだけでどうしてなくなるのか疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

 

ゴミ屋敷に住み続けていると本人が思う以上に心身の健康が蝕まれ、死につながるリスクが多いのです。

 

さらに異変に気づかれにくいこともゴミ屋敷特有の問題であり、孤独死が起こりやすいといえます。

 

ゴミ屋敷は決して他人事ではありません。

 

加齢や経済的困窮などが原因で、誰もが起こりうる問題です。

 

ゴミ屋敷は孤独死につながるサインです。

 

少しでも異変を感じたら注意をそらさないように気をつけてください。

 

ゴミ屋敷での孤独死という悲しい事態が少しでも減少することを願っています。

この記事の執筆者

執筆者

株式会社プログレス
編集部 F・N

遺品整理やゴミ屋敷の問題、疑問、関心を先回りして発見し、問題提起するプログレスきってのリサーチャー。
「身近に起きる不用品処分やゴミ屋敷問題の悩みを記事でサポートする」をモットーに、プログレス各種サイトのコラムを執筆中。

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