「飲み水の確保」「排泄物の処理」「体を清潔に保つ」
この3つは、人が健康に過ごすために最低限必要なことです。
そうなると「ゴミ屋敷や汚部屋に住んでいる人は、お風呂やトイレをどうしているのだろう?」と疑問に思いませんか?
お風呂やトイレはきれいなのでしょうか?
実際には、ゴミ屋敷や汚部屋でお風呂やトイレだけがきれい、ということはほぼありません。 今回はゴミ屋敷のお風呂・トイレ事情、自分でできる水回りの掃除手順ときれいのコツを解説いたします。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
ゴミ屋敷ではお風呂・トイレはどうしてる?
ゴミ屋敷・汚部屋の場合、お風呂やトイレにもゴミが溢れ、使用できない状態であることがほとんどです。
そのため、住人は以下のいずれかの方法で対処しているようです。
お風呂事情
・タオルで体を拭く
・銭湯に通う
・お風呂に入らない
トイレ事情
・コンビニや公園のトイレを使用
・ペットボトルやビニール袋に用を足す
信じられない人もおられると思いますが、ゴミ屋敷の片付け現場では、排泄物が入ったペットボトルやビニール袋が見つかることは珍しいことではないそうです。
ゴミ屋敷・汚部屋の危険性
ゴミ屋敷・汚部屋を放置すると様々な問題が起こります。
健康被害
・アレルギー、病気
ホコリ、カビ、ダニ、害虫などの影響でアレルギーを発症したり、免疫力が低下して病気になりやすくなります。
・肥満、栄養失調
外食やコンビニ、デリバリーの利用が増え、栄養が偏り太る人、逆に食べることをおざなりにして栄養失調になる人も。
・転倒、落下物による怪我
ゴミで埋もれ足場が悪いと転倒したり、ぶつけたりしやすくなります。
少しの振動でも荷物が崩れ、落下物で怪我をする危険性も。
急な体調悪化で倒れても誰にも気付いてもらえず、最悪の場合そのまま孤独死してしまうケースもあります。
火災・放火
タバコの不始末、家電・コードからの発火、放火など、火災原因は様々ですが、ゴミ屋敷・汚部屋では発生しやすく、さらに被害が拡大する傾向にあります。
・トラッキング現象
コンセントが緩み、そこにホコリが溜まって湿気を帯び、放電を繰り返すうちに発火して火災に。
・放火
ゴミ屋敷は放火の被害を受けやすい物件の条件に該当します。
物が多いゴミ屋敷で火災が発生すると、すぐに燃え広がり消火も困難に。
ゴミに遮られて住人が逃げ遅れてしまう可能性があるばかりか、近隣住宅にまで燃え移ってしまうこともあるのです。
*参考サイト
放火犯の特徴と放火防止対策(HOME ALSOK研究所:2023年更新)
近隣への被害
・害虫や害獣の発生
汚い部屋は害虫や害獣にとっては快適な環境のため、住みついて繁殖します。
その部屋を拠点として隣近所にも侵入していくので、被害が広がり近隣住民に迷惑を掛けることに。
・悪臭の発生
発生した悪臭が原因で、周辺では洗濯物が干せない、気分が悪くなるなどの問題が起こり、近隣トラブルにまで発展することも。
他にも「ストレスの増大」「集中力や判断力の低下」なども起こります。
視界に物が多く映る情報過多な環境に長期間居続けると、脳が疲弊し正常な判断をくだせなくなるのだそうです。
*参考サイト
デスクが散らかっていると集中力も生産性も低下する(Harvard Business Review:2019年)
お風呂掃除の手順ときれいのコツ
準備するもの
・洗剤(アルカリ性、中性、酸性、塩素系)
・ブラシ、スポンジ、使い古した歯ブラシなど
・雑巾
・ゴミ袋
・ゴム手袋
洗剤の使い分け
・中性洗剤 ……ピンクぬめり、皮脂汚れ、黒カビ、石鹸カス、水垢
・アルカリ性洗剤 ……ピンクぬめり、皮脂汚れ、黒カビ
・酸性洗剤 ……石鹸カス、水垢
・塩素系洗剤 ……頑固なカビ
*中性洗剤は様々な汚れに効果がありますが、洗浄力は他の洗剤に比べて弱いため、汚れが酷い場合はアルカリ性洗剤や酸性洗剤を使い分けましょう。
*塩素系洗剤と酸性洗剤は混ぜると有毒ガスが発生し、命の危険につながりますので絶対に併用しないでください。
お風呂掃除の手順
1:ゴミを取り除く
ゴミ屋敷の場合、まず風呂場内のゴミを取り除きます。
空のシャンプーボトル、使い古した歯ブラシなどを分別してゴミ袋へ。
2:細かな部品の掃除
洗剤を使用する時は換気扇を回しましょう。
洗面器またはバケツに水と酸性洗剤を混ぜ、シャワーヘッドや排水溝などの部品を外して浸けておきます。
3:浴槽、壁、床の掃除
シャワーで浴槽を濡らしたらアルカリ性洗剤を全体に塗布し、しばらく放置します。
洗剤が汚れと馴染んだら、固めのスポンジやブラシで汚れを擦り落とし、水で洗い流します。
同じ要領で壁、床の汚れも取り除きます。
4:排水溝、シャワーホース、蛇口の掃除
排水溝の髪の毛を取り除き、中性洗剤(汚れが酷い場合はアルカリ性洗剤)を使用し、排水溝、蛇口周り、シャワーホースをスポンジで擦り洗いします。
5:部品の洗浄・取り付け
付け置きしていたシャワーヘッドなどの部品は、残った汚れをスポンジや使い古した歯ブラシなどで擦り落とし、水でよくすすぎ元の場所に取り付けます。
6:カビ取り
アルカリ性洗剤では落ちず黒く残ったカビは、塩素系洗剤を塗布してしばらく放置しましょう。
これだけで軽いカビなら消えますが、頑固なカビはスポンジやブラシで擦り落とします。
7:全体の水洗いと乾拭き
浴室全体を水で洗い流し、雑巾で乾拭きして完了です。
きれいのコツ
頑固なカビは、洗剤を塗布した上からラップやキッチンペーパーで蓋をすることで、カビの根っこまで洗剤が浸透して落としすくなります。
また、掃除の後に浴室用の防カビ剤を使用しておけば、長期間カビを防いでくれます。
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トイレ掃除の手順ときれいのコツ
準備するもの
・トイレ用洗剤
・トイレブラシ
・スポンジ、ブラシ(使い古した歯ブラシなど)
・雑巾
・ゴム手袋
トイレ掃除の手順
1:便器の掃除
便器内に洗剤をかけて放置している間に、便器の外側と便座に洗剤を吹きかけてスポンジで磨き、雑巾で水拭きします。
便座の裏側は汚れが酷くこびりついていることが多いので、固めのスポンジを使用すると良いでしょう。
その後、便器内をトイレブラシで擦って磨きます。
細かい箇所は歯ブラシなどを使うと落としやすいです。
2:壁掃除
水で濡らし固く絞った雑巾で拭き上げます。
汚れが酷い場合は洗剤を使用しましょう。
3:床掃除
ホコリが多い場合は先に取り除いてから、雑巾で水拭きします。
きれいのコツ
トイレの汚れは「付いた時にすぐ落とす」を心掛けましょう。
トイレ用掃除シートを用意しておけば、汚れた時にサッと拭き掃除できますし、便器内の汚れも付いたときにすぐブラシで掃除すれば簡単に落とせます。
水回りの掃除を機に脱ゴミ屋敷を目指す
そもそも水回りが使えなければ手を洗うことも雑巾を絞ることもできません。
お風呂やトイレの掃除をきっかけに脱ゴミ屋敷を目指しましょう。
自分で片付ける
部屋数が少なく、害虫や悪臭が発生していないレベルであれば、自分でも片付けられるかもしれません。
とはいえ、一人では時間の確保や重たいゴミの搬出が困難で、途中で挫折してしまう可能性もあるので、家族や友人など2~3名に手伝いをお願いすることを推奨します。
1:事前準備(掃除道具の用意、スケジュール調整、ゴミの処分方法の確認など)
2:明らかなゴミから分別しまとめる
3:ゴミを搬出し室内を清掃する
*ゴミの処分は各自治体のルールに沿って行ってください。
*処分に迷う品は一旦保留にし、後日改めて要不要の判断を。
*騒音や振動に注意して、近隣の迷惑にならないようにしましょう。
*「害虫・悪臭が発生」「ゴミの量が多い」「取れない汚れがある」などの状態なら専門業者へ依頼しましょう。
*関連コラム
ゴミ屋敷の片付けは何日かかる?「自分でor業者依頼」の目安は?
専門業者へ依頼
重たいゴミの搬出や処分に困る物の回収、害虫駆除にも対応してもらえ、整理整頓のアドバイスももらえるので今後の生活に活かせます。
費用面を気にされる人もおられますが、専門業者に任せることで自分のプライベートな時間を犠牲にすることなく、短期間で確実にきれいにすることができるので費用対効果は良いと思います。
もし少しでも費用を抑えたいのであれば、自分でできることは自分で行い、できない作業のみを業者に任せるようにして節約しましょう。
納得のサービスを受けるために重要なのは業者の選定です。
処分品の不法投棄や法外な高額請求、貴重品の盗難などの被害に遭わないためにも、複数社から相見積もりを取り比較検討して、信頼できる業者を選んでください。
*関連コラム
汚部屋の片付けを業者に依頼するメリットは?相場もあわせてご紹介
まとめ
ゴミ屋敷・汚部屋では、自宅のお風呂やトイレが使えないことが多く、住人の健康面だけでなく近隣への影響も懸念される状態だとご理解いただけたと思います。
水回りをきれいすることが脱ゴミ屋敷の第一歩、と筆者は考えています。
自分で対処不能な状態に陥る前に、ご紹介した掃除方法を参考にして、まずは水回りをきれいにしませんか。
一度きれいにしてしまえば、その状態を保つのはそんなに難しいことではありません。
水回りの汚れは「付いたときにすぐ落とす」を合言葉に、きれいを保ちましょう。