ゴミ屋敷は一人暮らしの方や、高齢者だけが作ってしまうわけではありません。
子育てと仕事で忙しく、掃除や片付けの時間が確保できない一人親世帯の方や、共働きの方など、子供がいる世帯でもゴミ屋敷が生まれる場合があります。
ゴミに囲まれた不衛生な環境で子育てをすると、子どもにあらゆる悪影響を与えてしまいます。
子育てをされている方のお住まいがゴミ屋敷になってしまう原因と、ゴミ屋敷で育った子供が受ける悪影響について解説いたします。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
子供がいる世帯がゴミ屋敷になってしまう3つの理由
一人暮らしの方や高齢者と違い、子供がいる世帯ではゴミが溜まっている状況を家族で注意しあったり、片付けや掃除を分担しているようなイメージを持っていませんか?
しかし、子供がいる世帯でも以下の理由によりゴミ屋敷が生まれてしまいます。
一人で子育てをしており片付ける時間がないため
令和3年に厚生労働省が発表した「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯119.5万世帯の母親の就業状況は86.3%、父子世帯14.9万世帯の父親の就業状況は88.1%という結果が出ています。
*参考サイト
【「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要 」厚生労働省】
一人で子育てをしているほとんどの保護者は生活費を稼ぐために働いています。
自宅がゴミ屋敷状態になっていても仕事や家事で忙しいため、ゴミが溜まり続けている状態への対処が遅れてしまいます。
筆者にもシングルマザーの友人が数名いますが、仕事や普段の家事で忙しく、時間をかけて部屋の掃除をする暇がないと言っていました。
散らかっている光景を見て片付けなければいけないと焦りは感じるものの、疲労感や子育てのストレスにより気力がどうしても湧いてこないそうです。
保護者が精神疾患を抱えているため
子育てに疲れ、無気力になったりうつ病などの精神疾患を抱えてしまう保護者も少なくありません。
保護者がうつ病などの精神疾患を抱えている場合、必要な物と不要な物に区別をつけられず、整理整頓をする気力もなくなり、ゴミが自宅に溜まり続けてしまいます。
保護者同士のコミュニケーションがとれていないため
共働きで忙しく、家事の分担がうまくできずにゴミ屋敷を作ってしまうケースです。
ゴミを捨てる当番を決めたり、一緒に片付けようと声を掛けあうなど保護者同士でコミュニケーションがとれていない問題が考えられます。
ゴミ屋敷で育った子供が受ける悪い影響とは?
ゴミ屋敷での生活は子供に様々な悪影響を与えてしまいます。
病気にかかりやすくなる
大量のゴミが放置された空間は害虫や細菌が繁殖し、健康的に生活できない環境と化しています。
ゴミ屋敷に溜まったカビやホコリを吸い込むとアレルギー、中毒などを引き起こす恐れがあります。
また、室内のダニやハウスダストはぜんそくや肌荒れの原因になります。
ハエやゴキブリは汚い下水道や排水溝などを移動していますので、病原菌やウイルスを室内にまき散らします。
害虫が運んできた病原菌やウイルスにより、感染症にかかってしまう場合もあります。
体や服に悪臭がまとわりつく
ゴミ屋敷で生活していると、体や服にゴミの臭いがまとわりつきます。
ゴミ屋敷に住んでいる本人は普段から慣れているため悪臭に違和感を覚えませんが、臭いに慣れていない周囲の人からは不潔だと避けられてしまいます。
最悪の場合は臭いからと子供がいじめの標的にされてしまう場合もあります。
成績が低下する
教科書やノートを広げられないくらい室内にゴミが散乱していると、自宅で宿題や予習、復習ができません。
ゴミに囲まれながら勉強をしなければいけませんが、悪臭や害虫が充満する室内では集中できないため、成績は低下するでしょう。
ゴミが散乱しているせいで学校への提出物や教科書を紛失してしまう可能性もあります。
ゴミだらけの空間に違和感を覚えなくなる
小さいころからゴミに囲まれた空間で生活していると、自宅のゴミ屋敷化に気づかない大人に育つ可能性があります。
子供が自立して一人暮らしをすると再びゴミ屋敷を作ってしまい、成人して自分が子供を育てる番になっても、ゴミ屋敷の中で子育てを始めてしまうかもしれません。
ゴミ屋敷で生活している子供が栄養失調になりやすい理由は?
ゴミ屋敷では、食べ物を清潔な場所に保管できません。
本来冷蔵保存をしなければならない物も、冷蔵庫がゴミで埋もれていれば常温のまま放置するしかありません。
キッチンまでの経路がゴミで塞がれていれば料理もできないため、栄養バランスを考えた手作りの料理を食べる機会が減少します。
コンビニで購入したお弁当やデリバリーで注文した料理だけは子供の成長に必要な栄養を摂取できず、栄養失調を起こしてしまうのです。
成長途中の子供の体には十分な栄養摂取が欠かせません。
栄養失調になると外で運動ができなくなり、様々な病気にかかりやすくなります。
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ゴミ屋敷での子育ては児童虐待にあたる場合も
ゴミがたくさん溜め込まれた部屋で子供を育てていると、児童虐待をしている保護者として把握されるかもしれません。
厚生労働省では、児童虐待は「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト」「心理的虐待」の4つに分類されると説明されています。
ゴミ屋敷での子育ては、適切な衣食住の世話を放棄している「ネグレクト」に該当します。
*参考サイト
【「児童虐待の定義と現状」厚生労働省】
掃除や洗濯など、子供の成長のために最適な環境を整えない子育ては虐待と捉えられます。
速やかにゴミ屋敷の状態を改善し、子供の成長に適した環境を整えることが必要です。
ゴミ屋敷から子供を解放するためにできること
清潔で安全な空間で子供を育てるためには、ゴミ屋敷の状態を改善しなければいけません。
必要な場合は児童相談所や学校、専門家への相談も検討しましょう。
児童相談所、学校へ相談する
子育てに関して無気力さ、ストレスを感じている場合や、ゴミ屋敷に住んでいると思われる子供を見た場合は、児童相談所や学校へ相談してみましょう。
厚生労働省では児童相談所虐待対応ダイヤル「189」が設置されています。
虐待を受けているように思われる子供を見たときだけでなく、子育てが辛いと感じたときの悩みも相談できます。
*参考サイト
【児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について】
一日中子供の相手ばかりをしていると、子供中心の生活や思考になりストレスを抱えてしまいがちです。
そんなときは子供から少しだけ距離を置き、大人に悩みや辛さを打ち明けると気持ちが楽になります。
知り合いに子育て中の方がいらっしゃる場合も、辛いことがないか、困っていることがないか声を掛けてあげればネグレクトを防止できます。
保護者自身だけでなく、周囲の方も子育てについて悩まれている方を助けてあげられる環境が広がってほしいと筆者は願っています。
業者にゴミ屋敷の片付けを依頼する
仕事や家事が忙しく、ゴミ屋敷を片付ける時間がない場合は業者に片付けを依頼するのがおすすめです。
日時指定ができますので、利用者の予定にあわせて片付けを依頼できます。
業者によっては消臭、消毒サービスもあわせて依頼できる場合がありますので、サービスを利用した後はすぐに清潔なお部屋で生活を始められます。
まとめ
ゴミ屋敷は子供の健康だけでなく、人間関係や学習環境にも悪影響を与えます。
子供のころに過ごしたゴミ屋敷の習慣や記憶により、大人になっても苦しむ場合があるため、保護者の手で状況の改善が必要になります。
もしゴミ屋敷になる一歩手前の状態であれば、生活スケジュールや家族同士のコミュニケーションなどを見直し、ゴミ屋敷化につながる原因を改善しましょう。