「片付けられない」とお悩みの男性や、身近な人がゴミ屋敷に住んでいて困っている、という人は思いのほか多いようです。
ゴミ屋敷にしてしまうのは男性が多いという調査結果も出ており、このような男性には共通した特徴や行動パターンが見られます。
なぜ片付けられないのか、どうすればゴミ屋敷から脱出できるのかがわかれば、健康的で快適な暮らしを始める第一歩になるでしょう。
このコラムでは「ゴミ屋敷の実態」「ゴミ屋敷にしてしまう男性の特徴・行動パターン」を解説し、「ゴミ屋敷から脱出するための方法」と「業者へ頼むメリット・デメリット」をお伝えします。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
男性のほうが多い!ゴミ屋敷の実態
この章では「ゴミ屋敷事案の件数」「住人の男女比」「年齢別」「同居人の有無」から、ゴミ屋敷の実態について解説します。
ゴミ屋敷事案の件数
2022年に実施された調査によると、全国1,741市区町村内でゴミ屋敷事案を認知していると回答したのが全体の38.0%、認知しているゴミ屋敷事案の合計件数は5,224件となっています。
ゴミ屋敷事案を認知していない市区町村が62.0%もあることから、実際の事案件数は5,224件どころではないと容易に想像ができます。
*参考サイト
【令和4年度「ゴミ屋敷」に関する調査報告書(環境省換気用再生・資源循環局 廃棄物適正処理推進課)2023年3月】
住人の男女比
2018年に「住居の荒廃をめぐる法務と福祉からの対応策に関する研究会(事務局:公益財団法人日本都市センター)」が814市区を対象(回収率45.5%)に行った調査によると、ゴミ屋敷における当事者の性別(不明・無回答を除く)は男性が62.1%、女性が37.9%で男性のほうが多いという結果が出ています。
年齢別
年齢別(不明・無回答を除く)では、65歳以上が55.9%、40~64歳が39.1%、30歳代以下が5.0%。
同居人の有無
同居人の有無(不明・無回答を除く)では、「いない」が65.8%、「いる」が34.2%。
これらを踏まえると、とくに一人暮らしの高齢者男性にゴミ屋敷の問題が多いようです。
高齢者男性は世代的にも家事が不得手な人が多いうえに、持病や体力の低下によって、ますます片付けができなくなるといった状況が考えられます。
*参考サイト
【自治体による「ゴミ屋敷」対策 ~福祉と法務からのアプローチ~(公益財団法人日本都市センター)2019年3月】
ゴミ屋敷にしてしまう男性の心理的特徴5選
ゴミ屋敷に住む男性に見られる心理的特徴は5つあります。
多くの人が1つだけではなく、複数の特徴をあわせ持っています。
孤独を感じやすい
孤独を感じると、物をたくさん集めて寂しさや不安感を埋めようとします。
大切な人との死別を経験した人や社会とのかかわりが薄い人、コミュニケーションが苦手な人が多いようです。
自分に自信がない
「自分には誇れるものがない」といった自信のなさを補うように物を集めます。
高価な物を身に付けたり、余分に物を買うことで足りない(と思い込んでいる)自分を満たそうとします。
周りの目を気にしすぎる
良い人であろうと頑張りすぎたり、弱音を吐けないなど、周りの目を気にしすぎる人は外で気を張っている分、他人の目が届かない家の中ではその反動から片付けられなくなるようです。
傷付きやすい
失敗して後悔したり、周りの期待に応えられず自分を責めたり、また逆に自分の期待通りに周囲が動いてくれずがっかりするなど、自分が傷付くことを恐れるあまり行動できなくなります。
自分を守る鎧や壁のように物を溜め込みます。
精神疾患を抱えている
ストレスや疲労の蓄積から精神疾患を発症していたり、加齢にともない認知症を発症していたりすることがあります。
うつ病、ADHD、強迫性障害、セルフネグレクトなど、片付けられなくなる疾患は多数存在します。
公益財団法人日本都市センターが行った調査によると、考えられるゴミ屋敷発生の主たる要因は「家族や地域から孤立」26.3%、「統合失調症やうつ病などの精神障害(疾患)」25.5%、「経済的困窮」24.9%、「認知症」22.6%、「身体能力の低下、身体障害(疾患)」21.0%となっています。
「統合失調症やうつ病などの精神障害(疾患)」と「認知症」をあわせると48.1%にも上り、いかに精神疾患による影響が大きいかがわかります。
*参考サイト
【自治体による「ゴミ屋敷」対策 ~福祉と法務からのアプローチ~(公益財団法人日本都市センター)2019年3月】
ゴミ屋敷にしてしまう男性の5つの行動パターン
部屋を散らかしてしまう男性にみられる行動パターンを5つご紹介します。
買い物好き・収集癖がある
・物欲が強く、頻繁に買い物をする
・収集癖がありシリーズや色違いを次々に揃える
忙しい
・仕事や学業が忙しく時間がない
・夜勤など不規則な生活に疲れて、家では何もできない
片付けが苦手
・「実家では家族が片付けてくれた」など、片付けの仕方がわからない
・汚れものを触ることに抵抗がある
もったいなくて捨てられない
・「いつか使うかも」と思い、処分できない
先延ばし癖がある
・面倒事を後回しにしてしまう
これらの傾向がみられる人は、今現在そうではなくても、少しのきっかけでゴミ屋敷化する可能性がある予備軍です。
自身の行動を振り返るとともに、次の章を参考にしてゴミ問題を解消しましょう。
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ゴミ屋敷からの脱出方法
どこかのタイミングで改善に取り組まなければ、ゴミ屋敷はどんどん悪化します。
かといって、大量のゴミを一気に片付けようとするのは、途中で挫折する原因にもなりえます。
ゴミ屋敷から脱出するためには、負担の少ない方法で計画的かつ着実に進めることが大切です。
簡単なルールを決めて片付けに取り組む
無理のないゴール(期日)を決め、通過点として中間目標(いつまでに、どこを、どれだけ)をいくつか設定しましょう。
・最終期日を設ける
期日がないとダラダラしてしまい、結局進まないこともあるので「3か月後まで」など、無理のない期日を設定しましょう。
・小さな範囲を区切って片付ける
例)今日は押し入れの中、明日は机回り、など
・一定期間使用していない物は捨てる
1年、2年と使用していない物はこの先も使うことはほとんどありません。余程の思い入れがある物以外、潔く処分しましょう。
整理整頓のコツ
きれいに片付けた後は散らかさないための工夫が必要です。
ゴミを溜めるほど掃除が大変になるため、毎日5分でも良いので小マメな掃除・片付けを習慣化しましょう。
・使用後はすぐに元の場所へ片付ける
・掃除する曜日・時間を決める
例)月曜日はトイレ掃除、水曜日は掃除機がけ、など
・同時に使うものは同じ場所にしまう
例)アイロンとアイロン台、ドライヤーとヘアブラシ、など
・使用頻度が高いものを手前に収納
・買い物は「月に何回、いくらまで」を決め、買い過ぎを防止
・消耗品のストックは1~2個までにする
より詳しい片付け方法を知りたい方は、こちらの関連コラムをご覧ください。
*参考サイト
【ゴミ屋敷を自力で片付けるには?費用や日数、掃除の方法を紹介!】
専門業者に頼むメリット・デメリット
ゴミ屋敷になっている場合、本人の性格や生活習慣だけでなく健康面や精神面、経済面など様々な要因が重なって発生していることが多いので、当事者だけでの解決は困難です。
片付けを手伝ってくれる家族や知り合いが複数人いる場合や、片付け範囲が限られている場合(ワンルームマンションなど)は、自分たちで片付けることも可能でしょう。
しかし、手伝える人数が少ない場合や片付け範囲が広い場合は、費用対効果や確実性、今後のアドバイスがもらえる点などを考慮すると、専門業者に依頼するほうが良いと筆者は思います。
この章ではゴミ屋敷の片付け専門業者へ依頼するメリットとデメリットをご紹介します。
メリット
・様々な品目が混在している大量のゴミでも、分別不要でまとめて回収してくれる
・自分でするよりも圧倒的に短時間で片付けが完了する
・大型ゴミや重量のあるゴミの搬出も任せられる
・自分で、自治体のゴミ回収の手配や処理施設への持ち込みをする必要がない
・不用品買取やハウスクリーニングなどを一緒に頼める業者もあり便利
・整理整頓の仕方やコツを教えてもらえる
デメリット
・費用が掛かる
・悪徳業者も存在し、被害に遭うケースもある
・優良な業者、希望にあう業者の選定に時間が掛かる
専門業者のほとんどはきちんと許可を取り、真っ当に営業していますが、残念なことに一部には悪徳業者も紛れています。
各地で悪徳業者によるトラブルも報告されており、業者の選定には注意が必要です。
消費者庁や独立行政法人国民生活センターのホームページには、悪徳業者の情報や見積もりを取る際の注意点が掲載されていますので参考にしてください。
*参考サイト
【ウェブサイト上で「お得な定額パック 定額パック料金は、すべてがコミコミの料金」などの広告・表示をして不用品・粗大ごみ回収サービスを提供する事業者に関する注意喚起(消費者庁)2022年6月】
【不用品回収サービスのトラブル~市区町村から一般廃棄物処理業の許可を受けず、違法に回収を行う事業者に注意!~(独立行政法人国民生活センター)2022年11月】
まとめ
ゴミ屋敷にしてしまう男性の心理的特徴と行動パターンをそれぞれ5つご紹介しました。
もしご自分や周りの男性にこれらの特徴がみられたら、生活習慣や片付け方法の見直しを行うことをおすすめします。
ゴミ屋敷は放っておくと本人だけでなく周囲の人にも健康被害が広がり、火災や倒壊などの事故に発展するケースもあります。
もし今現在、ゴミ屋敷問題でお悩みなら、一人で抱え込まずに周りに助けを求めましょう。
家族、行政、専門業者など、話しやすいところにぜひ相談してください。