洋服や日用品などが散乱した汚い部屋はどこから片付けるべきなのでしょうか。物が大量にあってどこから片付ければいいかわからない状態でも、品目や部屋に絞って整理すれば着実に部屋を片付けられます。
しかし、部屋を片付けたいと考えていても、片付けに対してなかなかやる気が湧かずお困りの方がいらっしゃるかもしれません。
汚い部屋の片付け方を、片付けを先延ばしにしてしまう理由とあわせて解説いたします。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
「汚い部屋」はどんな状況を意味する?
汚い部屋とは物が散乱し、掃除が行き届いていない部屋を指します。
部屋が散らかっているなと感じる程度は人によって異なります。
部屋に衣類が数枚置きっぱなしになっている、ゴミ箱が満杯になっている程度の散らかり具合であれば、数分で片付けられるため汚い部屋とは言えないでしょう。
しかし床が見えなくなるほどゴミや衣類が散乱していたり、テーブルや机の上に書類や日用品、洗っていない食器が積み重なっている状況は「汚い部屋」と判断すべきです。
使いたい物がすぐに見つからない、置いてある物が邪魔で家事が満足にできないなど、日常生活に支障が出ているようであれば早急な対処が必要になります。
部屋の片付けを先延ばしにしてしまう理由
2014年に北九州市立大学都市制作研究所の神山和久さんが発表した「行動経済学による「消費者力」の涵養」によると、人は不確実で実際に手に入るかわからない物よりも、現在確実に手に入る物を選びやすい性質があると解説されています。
この性質は行動経済学で「現在志向バイアス」と呼ばれています。
*参考サイト
【「行動経済学による「消費者力」の涵養」神山 和久】
汚い部屋を見ても片付けようとなかなか決意できない理由は、片付けにかかる時間がもったいなく感じるためです。期限が決まっていない片付けを始めようとしても、他にやるべきことがあるのではないか、掃除にかけた時間が無駄になるのではないかと不安になり、先延ばしにしてしまいます。
仕事や家事など優先したい作業が他にあり、「まだやらなくていいや」と後回しにしてしまうのも現在志向バイアスによるものです。
先延ばしにするほど部屋が散らかり、気付いたときには手が付けられない状況と化してしまいます。
とりあえず始めることが大切
なんとなく机の上を片付けたところ、急にやる気が湧いてきて部屋全体を掃除してしまったという経験はありませんか?
これは物が片付いた達成感によって、さらに広い範囲を片付けたいとやる気が生じたためです。
やる気がどうしても湧かない場合は、とりあえず体を動かしてスイッチを入れてみましょう。
筆者は片付けを始めるために、音楽をかけてから片付けに取り組んでいます。
音楽をかければ気持ちを切り替えられるだけでなく、体がリズムにあわせて自然に動くので効率的に掃除を進められます。
また、音楽が流れている時間に作業をすれば集中力を落とさずに片付けに没頭できます。
片付けをなんとなくダラダラと進めてしまいがちな方にもぜひ試していただきたい方法です。
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汚い部屋はどこから片付けるべき?
まずは小さな場所から片付けを始めましょう。例えばキッチンや玄関などです。
小さな場所に保管できる物の数は限られています。量が少なく、収納スペースも少ないため片付けに時間がかかりません。
玄関は部屋からゴミを搬出するときに一番出入りが多い空間のため、始めに片付けておけば片付けのスピードが向上します。また、玄関は家に入って一番最初に目に入る場所ですので、きれいな空間がすぐ視界に入れば片付けのモチベーションも下がりにくくなります。
小さな場所の片付けが完了した後は、床に直置きしている物を収納してみましょう。
床だけでなく、机の上や椅子など平面に雑多に置かれた物も整理します。
ビニール袋や弁当の容器など、明らかにゴミだとわかる物はどんどん処分します。
明らかにゴミだとわかる物から処分すれば、必要な物かどうかを何度も判断せずに片付けられるため、精神的な疲労を抱えず整理を進められます。
一目でわかるゴミを処分した後は、残りの物をいる物といらない物に仕分けます。
洋服や小物がクローゼットや収納ケースに収まりきらない場合は室内に収納できる数を超えていると判断し、状態の悪い物から処分してください。
汚い部屋に戻さないためのコツ
汚い部屋を片付けても、部屋をきれいに保つ意識がなければ再び物が溢れてしまいます。
きれいな部屋を保つために以下のコツを意識してみましょう。
使った物は元の場所へ戻す
取り出した物を適当な場所に置いて紛失させないよう、元の場所へ戻すように心掛けましょう。
どうしても取り出した物を近くに放置してしまう場合は、物の収納場所を見直します。
箱から取り出さなければならない、脚立を使って取り出さなければならない、など出すときに手間が掛かる物は戻すのがおっくうになり、出しっぱなしのまま放置して散らかす原因になります。
筆者は車の鍵を頻繁に紛失してしまうので、玄関に鍵を収納するケースを置いています。
玄関であれば帰宅してすぐに鍵を収納できるため、鍵を持ち歩いたまま紛失する頻度が減りました。
筆者のように使う場所のそばに収納場所を作れば、取り出した後にストレスを感じず瞬時に収納できます。
床に物を置かない
2022年に株式会社一条工務店で実施された「掃除と収納に関する意識調査」では、全国の男女816名のうち約6割の人は自分の部屋が掃除しにくいと感じているという結果が発表されました。
さらに部屋が掃除しにくいと感じる理由として、8割が「床に物を置いているから」と回答しました。
*参考サイト
【「掃除と収納に関する意識調査」 株式会社一条工務店】
片付けが苦手な方は、棚や箱に入れずにとりあえず物を床に置いてしまいがちです。
帰宅後すぐに服やカバンを床に放置していませんか?
物の定位置を決めないまま床に置きっぱなしにしていると足の踏み場がなくなり、汚れも溜まりやすくなるため部屋が段々と汚くなります。
服は脱いだらすぐにハンガーにかける、本は出したらすぐにしまうなど、物を床に置かない習慣を身に着けましょう。
さらに床を掃除する際に物を持ち上げる必要がなくなりますので、定期的なお掃除の負担も減らせます。
部屋に入りきる量だけ持つ
収納スペースに収まりきらない量の物を持つと部屋が散らかる原因になります。
紙袋や保冷剤、試供品など、無料でもらえる物、安くてつい買い溜めしてしまう物は決まった量だけを保管し、収納スペースに入りきらない物は処分しましょう。
新しい物を購入する場合は、本当に必要な物か一度考えましょう。
新しい物を一つ購入した後は自宅で保管している古い物を一つ手放すなど、自分でルールを決めて室内で保管している量を調節すると物が溢れにくくなります。
まとめ
様々な物が散乱している汚い部屋を片付けようと思っても、どれから片付ければいいかわからないことがほとんどです。
けれども少しずつ片付けていけば、最終的にはきれいな部屋を取り戻せます。
まずは小さくてすぐに片付けられる部屋を選んで整理してみましょう。処分する判断がしやすい燃えるゴミに集中して片付ける方法もおすすめです。
片付けが完了した後は、再び汚い部屋に戻らないように物を増やさない、物を出したら元の位置へ戻すなど、部屋を散らかさない習慣を身に着けるようにしましょう。