テレビや雑誌でゴミ屋敷を片付けている様子を見て、どうしてここまで溜めてしまったのだろう、と疑問を覚えたことはありませんか?
ただ単に片付けが苦手な方だけでなく、様々な事情を抱えた方がゴミ屋敷を作ってしまいます。
ゴミ屋敷ができた理由を明らかにすれば、ゴミ屋敷を作らないように生活習慣や性格を見直して改善できます。
今回はゴミ屋敷を作ってしまう人の特徴や心理、ゴミ屋敷を作ってしまった方へ片付けを提案する方法について解説します。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
ゴミ屋敷に住む人の特徴
ただ片付けが面倒臭い人だけでなく、体が不自由でゴミ捨てが難しい方、持ち物の管理が苦手な方など、様々な事情を持つ人がゴミ屋敷を作ってしまうと言われています。
もしご自身が下記の特徴に該当していた場合、なるべく早くゴミを溜めてしまわないよう意識し改善するのが望ましいでしょう。
もったいないからと処分できない
「いつか使うかもしれないから」「友人に貰った物だから」と持ち物に愛着が湧いて不要な物でも処分できない人はゴミ屋敷を作ってしまいがちです。
筆者もせっかく購入した物を処分するたびに罪悪感を感じてしまう性格で、自宅に一度も使用していない雑貨や文房具を大量に放置しています。
購入したときの思い出がある物や、未使用品の物は余計にもったいなさを感じてしまいますよね。
身体的な事情によりゴミ捨てが困難
高齢で足腰を痛めている方、怪我により歩行が困難な方など、ゴミを持ち運ぶのが困難な状態の方はゴミを溜め込んでしまいます。ご家族がゴミ捨てを代行する、ゴミ捨てがしやすい住環境へリフォームするなど、第三者によるサポートが必要になります。
認知症などの精神疾患がある
認知症は症状の進行によって記憶や判断が困難になります。認知症によりゴミの分別や排出ができず、ゴミを溜めている自覚がないまま生活しているのであればゴミ屋敷が生まれてしまう可能性が高まります。
また認知症だけでなく、統合失調症、ADHDなどの精神疾患によって分別ができなかったり、片付ける気力が湧かずゴミが溜まり続けている場合もあります。
ゴミ屋敷に住む人はどのように生活している?
通路や出入り口がゴミで塞がれているゴミ屋敷では、実際に生活できる空間が限られます。
ゴミの山の中に生活用のスペースを空けて生活したり、スペースを空けられない場合は直接ゴミの上で食事をとったり、寝ている方もいらっしゃるようです。
衛生環境さえ気にならなければゴミ屋敷でも生活できますが、ゴミが溜まった部屋で生活し続けるのは大変危険です。
例えばコンセントにホコリやゴミが積もって電気がショートし、火災が発生するリスクがあります。ゴミが溜まって身動きがとれないゴミ屋敷で火災が発生すると、逃げ遅れて死亡する確率は高まります。
また、高く積み上げたゴミが地震などで倒壊してしまった場合、下敷きになって圧死してしまう危険性もあります。
大量のゴミによって命を落とさないよう、片付けをして安全な空間を手に入れるべきです。
大量のゴミを捨てない人の心理
ゴミ屋敷に住んでいる人はなぜこのような状態になるまでゴミを溜めてしまうのでしょうか?
大量のゴミを捨てない人の心理は以下のように考えられます。
孤独感、疎外感を抱えている
孤独感や疎外感を抱えている人は寂しさを埋めるために、室内にゴミを溜めてしまいます。
孤独感を抱えていると無気力に感じ、ゴミを掃除する意味を失ってしまいます。
そのため、家族や配偶者を亡くした方がゴミ屋敷を作ってしまう事例もあります。
令和5年に内閣官房孤独・孤立対策担当室で調査された「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」によると、孤独感を常に感じている方は30代が一番高いと発表されています。
*参考サイト
【「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」内閣官房孤独・孤立対策担当室】
高齢者に限らず、働き盛りの30代も孤独によりゴミ屋敷を作ってしまう可能性があります。
持ち物の管理が苦手
ゴミ屋敷を作ってしまう人は必要でない物でも何となく室内に放置していることがほとんどです。「あとで片付ければいい」と考えてしまう人は、先延ばしにしているうちに手がつけられなくなるほどゴミを溜めてしまい、ゴミ屋敷を作ってしまいます。
また、すでに持っている物でも存在を忘れてしまい購入してしまうなど、持ち物を管理していないせいで余計な物を増やしてしまう失敗も起こしてしまいます。
ゴミ屋敷に住んでいると自覚していない
ゴミ屋敷で生活している人は、そもそも自分の住まいがゴミで溢れていると自覚していない可能性があります。ゴミ屋敷に住んでいると思わなければ片付けを始めようという気も起きず、平然と溜め続けてしまうのです。
この心理状況の人やご家族など第三者から声を掛けてもらわなければ片付けをする決意が起きず、ゴミ屋敷を放置してしまいます。
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ゴミ屋敷を片付けるよう促す方法は?
ゴミ屋敷は時間が経過すると悪臭被害、害虫被害を近隣まで拡大させます。
被害を最小限に食い止められるよう、ゴミ屋敷は周囲の方と協力して早急に片付けるべきです。
大家さんや管理会社に連絡する
本人に直接ゴミを片付けるよう注意すると、反抗されて片付けてもらえなくなったり、最悪の場合は訴訟に発展する可能性があります。
大家さんや管理会社に相談をすれば代わりに本人に連絡してもらえたり、行政に相談してもらえたりとトラブルが発生しないよう対応してもらえます。
片付けを手伝うと声を掛ける
ゴミ屋敷に住んでいる方の中には、ゴミ屋敷に住んでいる状況を他人に相談できず、対処ができないまま放置している方もいらっしゃいます。
そして自分がゴミ屋敷に住んでいると自覚していない場合、第三者からの提案がゴミ屋敷を片付けようと決意するきっかけになる場合もあります。
環境省が発表した「令和4年度 「ごみ屋敷」に関する調査報告書」では、平成30年から令和4年の直近5年度の期間で各市区町村でゴミ屋敷問題の施策として、定期的なパトロールや訪問による状況確認を行ったところ、141件の改善効果があったと発表されています。
*参考サイト
【「令和4年度 「ごみ屋敷」に関する調査報告書」環境省】
ゴミ屋敷片付け業者を紹介する
ゴミを溜めた本人やご家族だけでは手が回らないほどゴミが溜められている場合は、ゴミ屋敷片付け業者を探して紹介するのも一つの手段です。
悪臭が発生しているゴミや重たいゴミもスタッフに搬出してもらえますので、体に負担が掛からず、一般の方だけの作業よりも短い時間で片付けられます。
ゴミ屋敷に住む人の心理は変えられる?
ゴミ屋敷に住んでいる方の心を動かすためには、本人とコミュニケーションをとる方法が効果的です。
ゴミ屋敷の片付けを提案したい場合は「どうしてゴミを溜めてしまったのか」と詰めるように質問するのではなく、「最近困っていることはないか」と助けたい気持ちが伝わるよう意識して話します。
相手が冷静に話し合いに応じてくれなかったり、対面に不安を感じる場合は自治体やボランティアを通して相談してみましょう。
筆者の祖母の姉は他者との交流を避けており、買い溜めした食品や日用品でゴミ屋敷化した自宅を誰にも相談できないまま放置していました。ゴミ屋敷化が発覚し、現在は親族が団結して祖母の姉のサポートやゴミ屋敷の片付けを行っています。
他者との関わりを避けている方でもご家族や周りの方の定期的な訪問により孤独感が消え、ゴミの片付けにも積極的に取り組もうと改心してもらえるかもしれません。
まとめ
ゴミ屋敷を再び作らないためには、ゴミ屋敷を作ってしまった理由、心情を理解し、一人ひとりに適した改善策を実行しなければいけません。
ゴミ屋敷に住んでいる方は孤独感、疎外感を抱えている場合がありますので、周囲からの協力が必要になります。ご家族はもちろん、近隣にお一人でゴミ屋敷状態のお部屋に住んでいる方がいれば、その人の気持ちに寄り添ってサポートしてあげましょう。