日頃からきれいな部屋に住む人にとって、汚部屋住民の心理を理解するのは困難なものです。そのため、「片付けて」「汚いよ」と汚部屋住民に声をかけてもなかなか片付けを行ってくれず、やきもきしてしまうことでしょう。また、大半の汚部屋住民も自分の心理状況が把握できていません。そのため、「汚いとなぜ落ち着くのだろう」「何で片付けができないのだろう」と悩んだり、落ち込んだりしてしまうのです。つまり、汚部屋住民の心理状況を把握することはすべての人に好影響をもたらすのです。
今回はそんな汚部屋住民の心理状況を紹介します。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
汚部屋住民の心理例
汚部屋にしてしまう心理は大きく分けるといくつかの例に分けられます。
主な例を紹介します。
ストレスがたまりやすい(外的にも内的にも)
ストレスがたまりやすい方、ストレスをためやすい環境にいる方は心理的な負荷が他の方よりも多くかかっています。
そのストレスから自分を守るため、物の大量購入(買い物依存症)や家事の放棄(セルフネグレクト)などで私生活でのストレスを減らす、または軽減できるように行動します。そのため部屋が汚くなります。
もったいない
境遇や性格などから、処分に強い抵抗を覚える方がいます。空のペットボトルや弁当の空き箱などまでもったいないと感じ、保管してしまいます。そのため、物が増え、汚くなります。
不安
他の方より人一倍不安を感じやすいことが原因で物を買いすぎてしまいます。あっても困るだけの量を購入してしまいます。そのため、片付けの習慣があっても、部屋が物であふれてしまいます。
分離不安
分離不安とは主に子供が母親などから離れることができないことを指しますが、物に対しても起こります。使い古したタオルや古着などがその代表的な例で、愛着から強ければ強いほど手放せません。そのような状況が続けば、部屋は物であふれ、汚くなります。
掃除の順序が分からない
発達障害などの理由で物事を順序だてて考えることが困難な方がいます。そのような方は、掃除を始めても途中で何をすればよいか分からなくなり、挫折してしまうことが頻発します。その繰り返される挫折から掃除に抵抗を感じてしまい、次第には放棄してしまいます。
汚部屋住民の主な心理はこのようなものがあげられます。
なぜ汚部屋が落ち着く心理になるのか
では次に、汚部屋住民はなぜ汚部屋が落ち着く心理状況になるのかを紹介します。
その落ち着く理由は主に、先ほどの例で挙げた「もったいない」や「不安」に当てはまる、収集癖や捨てないことへの安心から生み出されます。必要以上の物やたくさん物を所持していることで、不安を感じなくなり落ち着くのです。
また、孤独感も落ち着く要因の一つと言われています。
ホームシックなどに代表されるように、人間は孤独感から病を引き起こすことがあります。そんな孤独感を紛らわすために物をため込みます。大量の物の圧迫感から、孤独感を抑え、落ち着くのです。
このように、汚部屋が落ち着く心理状況は、主に「不安を取り除くこと」と「孤独感を紛らわすこと」を目的に引き起こされています。
心理的には安心でも健康には悪影響
ただ汚部屋はどれだけ落ち着く存在であっても、健康面には悪影響しかありません。そんな悪影響を紹介します。
感染症の恐れ
汚部屋は害虫が発生するため、感染症の危険性があります。また、害虫は汚部屋を拠点に近隣住民の家や部屋にも出現するため、近隣住民全員に感染症の危険が及びます。
アレルギー
汚部屋住民は臭い漏れなどの影響を懸念し、空気の入れ替えを躊躇してしまいます。そのため、空気の入れ替えができず、ハウスダストがたまります。これらのハウスダストはアレルギーを引き起こす物質であり、鼻炎や喘息を慢性化させます。
生活リズムの乱れ
汚部屋は物の多さから、人間の活動場所を制限します。そのため、寝る場所を確保するのも一苦労となり、ベッドなどで落ち着いて寝ることは困難です。また、先ほどの臭い漏れなどの理由で外気を入れ替えなければ、気分をリフレッシュすることもできなくなり、生活リズムが乱れていきます。
このように、汚部屋はたくさんの物の存在によって心理的に落ち着くことはあっても、健康的な生活とはかけ離れた生活を強いられる部屋なのです。
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汚部屋の脱出方法
ではこのような汚部屋から脱出するにはどうすればよいのでしょうか。
その方法は「心理状況を解決し、片付ける」この方法しかありません。
業者などに依頼をし、片付けてもらう方法もありますが、片付け後にリバウンドしてしまう可能性が非常に高いです。そのため、まずは心理状況を理解し、片付けについて考えることが何よりも重要です。
脱出方法
・心理状況の解決
ストレスに原因があるならば、ストレスの少ない生活・仕事を選択しなおす、物を手放すのに不安を強く覚える場合は、病院などで治療を受ける、このような自分の心理状況に合わせた対策方法を取りましょう。片付け方の順番が分からない発達障害は完全に完治するものではありませんが、治療によって症状を緩和することができると言われています。
そのため、自分の生活の見直しと治療を受けましょう。
・片付けに入る
片付けに入る前に自分がどれほど片付けたい気持ちを持っているのかを考えましょう。「なんとなく」ではほぼ途中で放棄してしまうでしょう。
また、「まだ手放すことに不安がある」などの心理的状況に問題がある場合なども危険です。そのような状況下で進めたい場合は、友人や家族を頼りましょう。一緒に進めることで、勇気を持った行動がとれるはずです。
・片付け
片付けはいらないものといるものを仕分け、処分し、残したものを整理するだけで、終わりです。捨て方は自治体ごとに決められた方法を守り、処分してください。
汚部屋脱出は片付けに入るまでが何よりも重要です。早急な結果を求めるがあまり、心理状況の解決をおろそかにしてしまうと、挫折して片付けを嫌いになってしまうことがあります。気を付けましょう。
汚部屋に対するNG心理
片付け方法を紹介すれば、終わりのように思われるかもしれませんが、汚部屋の片付けは長期戦です。その際にある考え方をしてしまうと、挫折してしまう危険性が跳ね上がります。
そのため、最後に汚部屋と向き合う際に気を付けたいNG心理を紹介します。
自責の念を持つ
「なぜ片付けなかったんだ」「片付けられない自分はダメだ」などと自分を責めることは、何の役にも立たない、悪影響のみを生み出す最悪の行為です。自責による反省は良いことですが、自責の念を持ち、片付けられなくなっているのであれば、反省しないほうがましです。反省はそれなりにして、片付けに向き合う心理を整え、前向きになるのが重要です。
焦る
「早く片付けないと、迷惑がかかる」と考えすぎるあまり、焦ってしまう方がいます。汚部屋は人一人が急いで動いたところで、一日で大きな変化を起こすことはできません。自分のできる範囲でじっくりと進めていくのが、より早い解決へとつながります。
無理な目標を設定する
「いつまでにこれを片付ける」などの目標を立てるのは良いことですが、無理な目標を立てるのは危険です。焦りと同じように、無理したところで早く進むこともなく、挫折の危険性が上がるだけです。
このように片付けの際は焦りや自責の念が出てきてしまうものですが、自分の心をコントロールし、じっくりと進めることに徹しましょう。
まとめ
汚部屋にしてしまう方の心理を紐解くことは声掛けの方法や、片付けられない気持ちの対処方法など、汚部屋住民にお困りの方も汚部屋住民にも好影響をもたらします。「この人はもしかしたらこのような不安があるのかも」「自分はダメなのではなく、もしかしたら病気が原因」と思えれば、お互いに気持ちよく汚部屋解決への一歩を踏み出せるはずです。
この記事で少しでも汚部屋問題について知識が深まり、一件でも汚部屋がなくなることを祈っております。
お読みいただきありがとうございます。