汚部屋は足の踏み場が無いほど物が散らかっており、生活に不便且つ不衛生な環境です。そんな汚部屋に住む方は皆、だらしない性格だからそうなるのでしょうか?もちろん性格が原因で汚部屋になる方もいらっしゃいますが、他の片付けられない原因として精神疾患や病気が潜んでいる可能性があります。
このコラムでは、部屋が汚部屋になる原因として考えられる精神疾患や病気について紹介していきます。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
精神疾患と汚部屋は関係がある?
まず始めに、汚部屋と精神疾患や病気の間にどのような関係があるのかを解説します。
汚部屋とは?
明確な定義はありませんが、一般的に汚部屋とは足の踏み場も無いほど部屋の中が物で散らかっている部屋のことを指します。
掃除が習慣づいている方からすると、汚部屋住人は片付けやゴミ捨てをサボってだらしない性格という印象を持ってしまうかもしれません。しかし、汚部屋住人の中には、精神疾患や病気など性格ではない部分に原因を持つ場合があります。
そのような方は疾患の影響で脳(判断力・認知など)や心の状態に問題を抱えており、生活の不便を感じていたとしても自力で片付けることが難しい場合がほとんどで、その結果汚部屋になってしまいます。
この通り、精神疾患や病気と汚部屋は関係があることがわかります。
汚部屋は放置しても問題ない?
汚部屋は進行するとゴミ屋敷と化す可能性が非常に高いため、可能な限り早く対処するのが良いでしょう。なぜならゴミ屋敷は火災や健康被害、近隣トラブルなどの深刻なリスクを持つためです。
汚部屋のデメリットについてはこちらの記事でも紹介しています。
→『部屋が汚いとこんなにもデメリットが!汚部屋脱出でQOLを上げよう』
もしご自身やご家族が汚部屋だと気づいたら、放置せずに対処しましょう。
汚部屋になりやすい精神疾患や病気
この章では1章を踏まえ、特に汚部屋になりやすい精神疾患や病気について解説します。
溜め込み症
その名の通り大量の物を溜め込んでしまう精神疾患で、空いた空間があればどんどん物を置いてしまいます。物の価値に関係なく溜め込むため、明らかに不要なチラシやDMが溜まっていることもあります。物を捨てることに強い抵抗を覚えるため、物は増える一方で簡単に汚部屋と化します。汚部屋以上に汚いゴミ屋敷になる可能性の高い精神疾患です。
セルフネグレクト
セルフネグレクトとは、自分自身のことがどうでもよくなり、自身のケアを放棄してしまう精神疾患です。生活空間が不衛生でも掃除を行わない、食事が適当になる、入浴をしないなどの行動が見られます。大切な人の死など大きなショックを受けることで突如発症することもあり、ゴミ屋敷や孤独死のリスクが高い精神疾患です。
統合失調症
自分の気持ちや考えがまとまらなくなり、幻覚や妄想に囚われるようになる精神疾患です。脳機能に異常が起きているため、判断力や注意力といった能力も低下する可能性があり、その場合は汚部屋のリスクが上がります。
強迫性障害
強い不安から、それを解消するために同じ行動を繰り返してしまう精神疾患です。例えば家の鍵が施錠できているか気になり、通勤中にも関わらず何度も家に戻って確認してしまうなど、日常生活や社会生活に支障をきたす行動をとります。
もし何らかの商品(トイレットペーパーなど)に対して「品切れをするかも」という強い不安を抱いた場合、必要以上にその商品を買うため同じ物で溢れる汚部屋になります。
ADHD(注意欠陥)
ADHDは一つのことに集中するのが難しい発達障害です。そのため、片付け中に他のことに気を取られてしまうと、片付けを中断して別のことを始めてしまいます。
また、物の定位置を決めることが苦手という特徴もあり、汚部屋になりやすいです。
ASD(自閉症スペクトラム)
ASDは複数のことを考え実施することが苦手な発達障害です。物の要不要の判断、片付けの段取りなどを考えだすとパニックになってしまうことも。興味のあること以外は無関心という特徴もあり、掃除に関心が向かないことから汚部屋になっているケースもあります。
うつ病
強いストレスで酷く気分が落ち込んだり、生きることへの気力を失う疾患です。うつ病の方は仕事や育児などのストレスで日常的に疲弊していることが多いため、片付けに使う体力が残らず汚部屋になる可能性が上がります。
認知症
認知症は判断力や記憶力が低下する疾患です。ゴミの分別や片付けの方法がわからなくなる、ゴミ出しの曜日を忘れるなどの問題が生じ、徐々に汚部屋と化していきます。認知症は高齢の方に発症しやすく、今まで片付けができていた方でも発症すると片付けが苦手になります。汚部屋は転倒のリスクも高いため、高齢の方の汚部屋はより早く対処しましょう。
疾患の疑いがあればまずは病院へ
2章で挙げた精神疾患や病気に心当たりのある方は、片付けに取り掛かる前に病院で治療を受けて症状を緩和させましょう。
完治の難しい精神疾患や病気でも、専門医に相談し、薬を服用することで症状を緩和でき、今までよりも片付けがしやすくなるはずです。
疾患と汚部屋の関係を把握している専門医なら、治療の中で片付けや整理整頓のアドバイスを受けられる場合もあります。
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疾患を持つ方におすすめの片付け
精神疾患や病気を持つ方でも、ご自身に合った方法を見つければ片付けることができます。4章では片付け方法を紹介します。
小さな片付けから始める
「5分だけ掃除」「生ゴミはゴミ箱に入れる」など小さな片付けから始める方法です。精神疾患などを持っていると複雑なことを考えたり長時間集中することが難しくなりますが、小さな片付けなら無理なく完了できるはずです。一気に進めず、物足りないくらいの作業量にとどめて片付けに慣れましょう。
慣れてきたら「月曜日はテーブル周辺を10分片付ける」「1日5つゴミを捨てる」などのルールを決めるのもおすすめです。
ゲームのミッション感覚で紙に書いておき、終わったら1つずつチェックを入れていくと達成感を味わいやすくなり楽しく片付けができます。
物の定位置を決める
普段使う物の定位置を決めておくことで、物を使う・整理する際に迷わなくなります。物の定位置を決めることが難しいならご家族などに相談して決めましょう。
また、定位置を決めたらそこに戻す練習もしましょう。疾患の中でも特に発達障害がある場合、使った物を定位置に戻すことが難しいかもしれませんが、根気よく続けて習慣にしましょう。
片付け業者に依頼する
ゴミ屋敷片付け業者に依頼するのもおすすめです。多くの汚部屋片付けを経験しているため最短1日で部屋が片付きます。
片付いた部屋は汚部屋と比べ視覚からの情報が少なく、比例して脳が処理する情報量も軽減されます。その結果脳が休まり、精神疾患の症状の緩和も期待できます。
作業内容はゴミの処分、部屋の清掃、害虫駆除の他、汚部屋を再発しないための相談に応じてくれる業者もあります。サービスは業者によって異なるため、ホームページやお問い合わせフォームからサービス内容を確認しましょう。
疾患があっても必ず汚部屋は脱出できる
精神疾患や病気があると片付けをしても再び汚部屋に戻ってしまい、自分なんかに片付けは無理だと諦めたくなることもあります。
しかし、諦めずに小さな片付けを習慣化したり、知人や病院、業者に頼る中でご自身に合った片付け方はきっと見つかります。
病気だからと諦めてしまわずに、後戻りしながらでも構わないという心持ちで汚部屋を改善していきましょう。
まとめ
精神疾患や病気と汚部屋の関係は深く、改善も一筋縄ではいかないこともあります。
しかし汚部屋に住み続けるのはリスクが多く危険なので、早めに向き合うことが重要です。
全ての方がご自身に合った片付けや整理方法を見つけ、生活環境が改善できることを我々は願っています。