きちんと掃除をしている家でも、生ゴミを数日放置すればコバエが寄ってきます。では、ゴミが大量に放置されているゴミ屋敷では、どのような害虫が発生するのでしょうか。また、一度発生してしまった害虫は駆除することができるのでしょうか。
今回はゴミ屋敷に発生する害虫の種類や駆除方法をご紹介します。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
なぜゴミ屋敷に害虫が発生するの?
なぜゴミ屋敷は普通の家に比べて害虫が発生しやすいのでしょうか?
それは、ゴミ屋敷が害虫にとって非常に住みやすい環境だからです。この章では、害虫にとってのゴミ屋敷の住みやすいポイントと理由を解説します。
餌が豊富
ゴミ屋敷には食べかすや空の弁当箱といった生ゴミがいたるところに落ちていることがほとんどです。どんなに小さな生ゴミでも害虫にとっては十分な食事になり、中には人の髪や垢すらも食べる害虫もいます。また、水回りに行けば水分補給も容易にできます。この通り、ゴミや汚れを放置してくれるゴミ屋敷は害虫にとって食に困らない環境なのです。
隠れられる
ゴミ屋敷には生ゴミだけでなく普通ゴミ、本、服、生活用品などとにかく物が大量に溢れています。それらの物は害虫が姿を隠すのに役立ちます。害虫にとっても人(敵)に見つかることは避けたいので、物が溢れて隠れやすいゴミ屋敷は安心して住めると判断されます。
また、ゴミ屋敷住人は物を動かして整理することも滅多にないため、害虫の存在に気づかないまま過ごすこともあります。
繁殖しやすい
ゴミ屋敷は外気や天気の影響を受けにくく、外敵にも滅多に襲われません。また、ゴミ屋敷は換気が滅多に行われないことから湿度が高くなります。害虫はそんなジメジメとした空間を好む傾向にあります。
極端に寒くなることもなく、身を隠しやすいゴミ屋敷は害虫の繁殖にも適しており、あっという間にその数を増やします。
このように、ゴミ屋敷は害虫にとって非常に安全で住みやすい環境が整っていることがわかります。
ゴミ屋敷に潜む害虫の種類
ゴミ屋敷に住みつく害虫は様々な種類のものがいます。中にはあまり見かけないような珍しい種類がいますので、初めて目にすると怖くなったり不快な気持ちになることもあります。
この章では、ゴミ屋敷でよく見られる害虫の種類や特徴、現れやすい場所をご紹介します。害虫の種類の特定にお役立てください。
コバエ(ハエ)
2~5mm程度の小さなハエを総称してコバエと言います。その小ささを活かし、網戸や窓の小さな隙間、人が出入りする隙を狙い侵入します。コバエは繁殖力が強く、ショウジョウバエの場合孵化してから約10日で成虫になります。
・ノミバエ…生ゴミなどの腐敗臭を好み、台所やゴミ箱に現れる。俊敏な動きが特徴。
・ショウジョウバエ…生ゴミなどの腐敗臭、アルコールを好み、台所やゴミ箱に現れる。赤い目が特徴。
・チョウバエ…湿った場所を好み、水回りや排水管内に現れる。日中は壁でじっとしている。大きな羽が特徴。
ゴキブリ
コバエに並び代表的な害虫で、ゴミ屋敷には必ずと言っていいほど発生・大量繁殖しています。
ゴキブリは生ゴミの他にダンボールなども食べる雑食性で、暖かい・暗い・狭い・ジメジメとした環境を好むため、ゴミ屋敷はゴキブリにとって住みやすい条件が整っています。
日本で主に見かけるのは、クロゴキブリ、チャバネゴキブリの2種類です。
チャタテムシ
1〜1.5mm程の大きさの茶色い姿で、主にカビを食べる害虫です。好む環境は湿気がたまりやすく暖かい場所で、ゴミ屋敷は好ましい環境です。特に畳、古本、ダンボール、台所に潜んでいることが多いです。
シミ(紙魚)
細長い姿が特徴的な銀色の害虫で、体をくねらせながら素早く移動します。紙を食べることから本や書類の周辺に現れます。他にも髪の毛、ほこり、繊維を食べることもあります。毒や攻撃性は無いため人に害はありませんが、見た目のインパクトが強く不快になります。
ヒメマルカツオブシムシ
4〜5mm程の大きさで、テントウムシのような丸みを帯びた姿をしています。加害するのはその幼虫で、主に絹やウールなどでできた衣類を食し、虫食いの被害をもたらします。噛む力が強いため、鰹節などの乾燥食品を求めて包装を破り侵入することもあります。
成虫になると屋外に出ようとするため、人前に姿を現すようになります。つまり成虫を見かけたら、タンスなどに産卵されている可能性が高いです。服が大量にある女性のゴミ屋敷でよく見られます。
害虫を放置するリスク
「ゴミ屋敷住人が気にしていないなら、害虫を放置してもいいのでは」と思われるかもしれませんが、害虫を放置することは健康被害を受ける危険性があります。
健康リスクがある
害虫はあらゆる場所を移動するため、病気や菌を媒介する危険性が非常に高いです。屋外から病原体を運んでくるパターンもあれば、ゴミ屋敷の不衛生な水回り(トイレなど)を移動した際に運んでくるパターンもあります。
・主な健康被害
アレルギー、喘息、感染症、食中毒、ピロリ菌など
近隣に迷惑がかかる
ゴミ屋敷の中で繁殖した害虫は近くの家に移動し、更なる被害を与えることもあります。特に賃貸など隣との距離が近いと、そのリスクは大きくなります。害虫被害が大きくなると、害虫の発生源として苦情を受けるなど近隣トラブルに発展する可能性もあります。
人間関係が悪化して住みづらくなる前に対処しましょう。
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ゴミ屋敷の害虫駆除方法
ゴミ屋敷に害虫が住みついてしまったら、害虫を駆除することはできるのでしょうか?
この章では害虫の駆除方法をご紹介します。
殺虫剤を使用する
市販の殺虫剤を購入して害虫を駆除する方法です。大量の害虫を駆除するなら、部屋中に効果を発揮できる燻煙タイプがおすすめです。燻煙タイプは殺虫効果のある煙や霧を発生するため、スプレーよりも隠れている害虫に効果を発揮しやすいです。
しかし燻煙剤は強力なので、使用する際は電化製品にカバーをする、ペットや植物を隔離しておく、火災報知器にカバーをするなど安全に使用する準備が必要です。使用後はしっかり換気をし、害虫の死骸を掃除しましょう。
ただ注意したいのは、物陰が多いゴミ屋敷では隙間に薬が入りづらく、強い燻煙剤を使っても害虫を殺しそこねてしまうことがある点です。
また、殺虫剤は殺虫するだけなので、虫の死骸すらも見たくない方には市販薬を使う方法は不向きです。
ゴミ屋敷片付け業者に依頼する
そんな時は業者の力を借りましょう。依頼するのは普通の害虫駆除業者ではなく、ゴミ屋敷に慣れているゴミ屋敷片付け業者がおすすめです。なぜなら、害虫駆除だけでなく、ゴミ屋敷の片付けから清掃まで一貫して行ってくれるからです。
清潔な部屋は害虫にとって住みづらい環境なので、すぐにでも害虫を駆除したい方には業者依頼が効果的です。
ただし生活習慣が今まで通りだと再度ゴミ屋敷にしてしまい、再び害虫を寄せ付けてしまう可能性があります。
害虫を発生させないためには片付けを
食と水に困らず、暖かくて隠れられる場所が豊富にあるゴミ屋敷は、薬剤などで一時的に害虫を駆除してもすぐに新たな害虫がやってきて住処にされてしまいます。
つまり害虫を二度と発生させたくないなら、ゴミ屋敷から脱出するのが一番の駆除方法となります。
ゴミ屋敷から脱出する生活習慣
・ゴミを捨てる
・ホコリや目に見える汚れを掃除する
・物を整理整頓する
・換気を行う
最初はハードルを下げて「生ゴミだけでも捨てる」など、少しずつでいいのでゴミ屋敷から脱出するための一歩を踏み出してください。そして害虫にとって住みにくい環境を作る習慣を身につけましょう。そうすればゴミ屋敷は改善され、害虫が住みつくことも少なくなっていくでしょう。
まとめ
ご紹介した通り、ゴミ屋敷は害虫にとって住みやすい条件が揃っており、侵入を許してしまうと簡単に繁殖し、個人では駆除しきれないほどの数になります。厄介な害虫を発生させないためには、ゴミ屋敷を改善することが重要です。
ゴミ屋敷を改善すれば害虫が住みつきづらくなりますし、清潔で快適な生活空間が手に入りますので、無理のない範囲で掃除を進めてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。