メディアでも度々取り上げられるゴミ屋敷は、不衛生で生活しづらい環境であるにも関わらず、なぜ生まれてしまうのでしょうか?
今回は、ゴミ屋敷に陥ってしまう原因やゴミ屋敷を放置するとなぜ危険なのかを解説します。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
ゴミ屋敷とは?
はじめに、ゴミ屋敷とはどのような状態の家のことを表すのかを解説します。
まず、ゴミ屋敷には明確な定義はありません。
一般的には、足の踏み場もないくらい物やゴミが溜め込まれ、部屋の外まで溢れ出しているような部屋のことを意味します。
ゴミ屋敷は単に物が溢れているだけではなく、使用済みの割り箸などの明らかなゴミすらも放置されているため悪臭や害虫が発生しているケースが多く、住人は物やゴミの上で寝起きしたり、ゴミに浸食されていないわずかなスペースで生活をしていることがほとんどです。
ちなみに似た意味を持つ「汚部屋」という言葉があります。汚部屋は、ゴミ屋敷よりも物の量が少ないけれど散らかっている部屋を意味します。汚部屋の段階では外まで物が溢れることはありませんが、状態が悪化するとゴミ屋敷になります。
部屋がゴミ屋敷になる人の特徴
不衛生でゴミだらけのゴミ屋敷は住みにくいはずなのに、なぜか住み続ける方がいます。では、一体どのような人がゴミ屋敷を生み出してしまうのでしょうか。
部屋をゴミ屋敷にしてしまう人は、ゴミ屋敷に住みたくて物やゴミを溢れさせているわけではなく、何らかの原因を抱えていることがほとんどです。この章では、ゴミ屋敷になる人の特徴を解説します。
衝動買いが多い
買い物でついつい必要のない物まで購入してしまう、という経験は誰しもが一度はあるかと思います。
ゴミ屋敷に住む方はその衝動買いの頻度が高く、ハイペースで物が増え生活スペースを圧迫していきます。悪化すると買い物依存症という心の病になります。物を買う瞬間に幸せを感じるため、購入品は開封すらされないまま部屋に積み重ねられゴミ同然になり、ゴミ屋敷に変貌していきます。
孤独を感じている
遠方での一人暮らしや希薄なご近所づきあいなど、漠然とした孤独を感じている方はゴミ屋敷になりやすいです。なぜなら、その寂しさを埋めるため物を大量に買い込んだりゴミを拾い集める可能性があるからです。パートナーとの離別や家族の死などがきっかけで突然孤独に陥り、ゴミ屋敷化するケースもあります。
捨てることに抵抗がある
物を捨てることに対し「もったいない」と考え、なかなか物が捨てられない人はゴミ屋敷になりやすいです。物の無い時代を過ごしてきた高齢の方や貧困家庭で育った方に多く見られます。悪化すると後述する溜め込み症になります。
時間が無い
仕事や家事が忙しく掃除にあてる時間がない方もゴミ屋敷になる傾向にあります。このような方は食事の時間も満足にとれないため、栄養補助食品やコンビニ弁当を利用します。つまり掃除ができない状況で栄養補助食品やコンビニ弁当などの内食のゴミがどんどん増えていきます。
また、ゴミ収集とタイミングが合わない夜勤のある職種の方も同様にゴミが溜まりやすいです。
ゴミ屋敷を生みやすい疾患
ゴミ屋敷を生み出してしまう人の中には、気づきにくい病気が原因の人もいます。なぜゴミ屋敷になってしまうのか原因がわからない方は、これから紹介する病気を疑ってみてください。
身体的理由
ケガの後遺症や手足の痺れなどがある方は、掃除をすること自体が難しくなるためゴミ屋敷になる可能性があります。
例えばゴミ袋をゴミ捨て場まで運んだり、ペットボトルのラベルを剥がすといったゴミ出しの際に必要な工程ができない、または時間がかかるため、結果的にゴミ捨てが追いつかなくなります。
うつ病
うつ病は生活そのものに対する活力を失ってしまうため、発症すると掃除に限らず生活、趣味、仕事が手につかなくなります。悪化すると次に紹介するセルフネグレクトになる可能性があります。
セルフネグレクト
セルフネグレクトとは、自分自身の世話を放棄する精神疾患のことです。セルフネグレクトになると自分のことがどうでもよくなるため、食事が疎かになったり、衛生環境が悪化しても適切に対処をしません。
溜め込み症(ホーダー)
その名の通り、物やゴミを溜め込んでしまう精神疾患です。溜め込み症になると捨てることに強いストレスを感じるため、溜め込む一方で物の量を減らすことが困難になります。
発達障害
ADHDやASDを持つ人は掃除そのものに集中することが難しかったり、ゴミ捨てのルールで躓いてしまい、上手く片づけられないままゴミ屋敷になってしまうことがあります。
認知症
ゴミ屋敷が高齢の方に多いのは体力の減少以外に、認知症によって物事の判断力が低下していることが関係しています。
今まで掃除ができていた方でも、認知症になってしまうとゴミの分別が難しくなる、曜日がわからなくなりゴミ収集日にゴミが出せなくなるなどの問題が生じ、ゴミ屋敷に近づいていきます。
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なぜゴミ屋敷を放置してはいけない?
ゴミ屋敷を放置することは、ゴミ屋敷住人やその近隣住民にとって大変危険です。
なぜなら最悪の場合命を落とすことになるからです。この章では、ゴミ屋敷を放置するとなぜ危険なのか解説します。
火災
ゴミ屋敷には紙類や衣類などの燃えやすい物が積みあがっている場合が多く、ほこりも堆積していて、小さな火が大きな火災に繋がりやすい環境です。
もし部屋の隅のコンセントや電気プラグにほこりが積もっている場合、電気と接触したほこりによって発火するトラッキング現象を引き起こす恐れがあります。部屋中に炎が燃え広がれば、最悪の場合近隣にまで被害が及びます。
また、外からでもわかるゴミ屋敷は放火魔にも狙われやすくなります。
害虫・害獣被害
害虫や害獣は生ゴミ、紙、衣類、人の皮脂などを食べます。そんな害虫や害獣にとってゴミ屋敷は居心地がよいため住み着いて繁殖をし、次第に近隣住民の家に出入りするようになり、次々と被害を生み出します。
また、害虫や害獣は病気を媒介することもあり、健康面でも問題を起こします。
悪臭被害
ゴミ屋敷には数多くの生ゴミが溜まっています。それらが腐敗することで悪臭が発生します。それに加え、先ほど紹介したような害獣が住み着いているとその排泄物で悪臭は更にひどい臭いになり、近隣住民の生活に悪影響を及ぼします。
落下事故
ゴミ屋敷は物やゴミが天井近くまで積み重なっているケースがほとんどです。この状況では、いつ上から物が落下してきてもおかしくありません。
落下物が住人に当たればけがをしますし、それが鋭利な物や重たい物なら命を落としかねません。
ゴミ屋敷を改善するには
最後に、ゴミ屋敷を改善する方法を紹介します。なぜ片づけられないんだろうと悩まれている方は、これから紹介する方法を参考にしてください。
疾患があれば治療
なんらかの疾患を持っているなら、まずは治療を行い症状を緩和することに専念しましょう。
完治には時間がかかるかもしれませんが、薬に頼ったり専門医に相談するだけでも気持ちが軽くなることがあります。
人との関わりを持つ
孤独とゴミ屋敷は深く関係しています。寂しさを物ではなく、人との関わりで埋めることで少しずつ物への執着が少なくなるはずです。
片付け業者に依頼
ご自身で片付けたいと思っても、どこから手をつければいいかわからないと悩まれるかと思います。そんな時はゴミ屋敷に特化した片付け業者に依頼するのがおすすめです。
なぜなら業者はゴミ屋敷片付けの経験を豊富に持つプロなので、ゴミ屋敷住人の悩みを熟知しており、気持ちに寄り添いながら作業をしてくれて、再発防止などの相談にも応じてくれるからです。
まとめ
なぜゴミ屋敷になってしまうのか、その原因を知ることでゴミ屋敷を解決するヒントを得られます。
ゴミ屋敷はけがや病気、火災など命に関わるリスクを持ちますので、なぜゴミ屋敷になったのか早めに原因を知り、対処することが重要です。今回の記事が少しでも参考になりますと幸いです。