ゴミ屋敷に悩まされる方はゴミ屋敷に住んでいる方だけではありません。
ゴミ屋敷の近隣に住んでいる方にとってゴミ屋敷は、自分でどうすることもできない厄介かつ面倒な問題です。
今回はそんなゴミ屋敷問題の解決方法について紹介します。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
ゴミ屋敷があるとどのような問題が発生する?
まず始めに近隣にゴミ屋敷があるとどのような問題が起きるのでしょうか。
・悪臭の発生
ゴミ屋敷の臭いはゴミ屋敷ごとで変わりますが、主に何かが腐ったような腐敗臭やカビの臭いなどがあげられます。
近くを通れば鼻をつまみたくなるような悪臭がひとたび発生すれば、部屋の換気もままなりません。
また、外に洗濯物を干したり、ガーデニングを楽しめないなど屋外の活動が制限されてしまいます。
・害虫、害獣
ゴミ屋敷は害虫や害獣にとっては暖かい隠れる場所があり、豊富な食べ物の存在する快適な環境です。そのような環境では、害虫や害獣は大量に繁殖します。
そして繁殖した害虫や害獣は近隣一帯に活動範囲を広げていきます。
もしゴミ屋敷が集合住宅の一室で作られれば、害虫や害獣は一棟全体に活動場所を広げるため、多くの方に被害が及びます。
・病原菌、ウイルス
ゴミ屋敷は湿度が高く不衛生な場所であるため、病原菌やウイルスなどの温床になることもあります。また、その病原菌を害虫などが媒介する恐れもあります。
・火災
ゴミ屋敷は通常の家や部屋より物が多いです。
そのため、一度火が付けば消し止めるのはなかなか難しく、一気に燃え広がります。
また、火の発生も害虫がコードをかんだことで火花が発生するといった原因もあり、ゴミ屋敷住民がどれだけ注意を払っていても火災が起きる可能性があります。
もし、この火災が近隣一帯まで燃え広がれば、数多くの人に被害が及ぶ可能性があります。
・倒壊
先ほども述べましたが、ゴミ屋敷は通常の部屋よりもゴミが多いため、床が抜けたり、家全体が倒壊する可能性もあります。
集合住宅などで床が抜ければ下に住む方の被害は避けられません。
また、一軒家であっても倒壊した家のガレキが歩行者に当たったり、隣の家に降りかかった場合、人災を引き起こしてしまう可能性もあります。
このようにゴミ屋敷の問題は臭いや害虫だけでなく、近隣の方への危険と被害を引き起こします。
ゴミ屋敷問題は自治体に相談すれば解決できる?
ただ、このような危険があるのにもかかわらず、ゴミ屋敷住民に片付けを説得しても多くのケースで受け入れてはくれません。
「では自治体に相談して解決を」と思っても、自治体は強制的な片付けを受け入れてはくれません。
では、近隣に住んでいる方々全員が困っているのになぜ、自治体はゴミ屋敷を解決してくれないのでしょうか。
・ゴミではない
基本的にゴミ屋敷住民はゴミ屋敷にある物全てを大切な品物と認識しています。
カップ麺の食べ終わった器も破れた雑誌も大切な物です。
私たちにとってゴミに見えるものでも本人がゴミではないと言えば、それはゴミではなくなります。
つまり、ゴミ屋敷を住民の許可なしに片付ける行為は、誰かの家に勝手に入って品物を勝手に捨てることと同じです。
その理由から片付けることができません。
・ゴミ屋敷を強制的に片付ける法律がない
では、「ゴミ屋敷の場合だけ例外として片付ければ」と思われるかもしれませんが、ゴミ屋敷の定義を決めるのは非常に困難です。
この世に全く同じゴミ屋敷が存在しないように、ゴミ屋敷の汚さのレベルも異なることから、「ここからゴミ屋敷である」線引きをするのは困難なのです。
・ゴミ屋敷は犯罪ではない
ゴミ屋敷は臭いや害虫などの問題を引き起こしますが、この害虫がゴミ屋敷で繁殖し、家に入ってきたことを特定するのは非常に困難です。
他の住居で害虫が繁殖した可能性もあります。
また、近隣住民を困らせてやろうと思ってゴミ屋敷にしている方よりも、片付けられない肉体的、精神的な理由がありゴミ屋敷にしている方が多いため、ゴミ屋敷を犯罪と認定するのは、ほぼ不可能です。
このような理由からゴミ屋敷を取り締まることができないのです。
ゴミ屋敷問題に対する自治体の取り締まり方法
ただ、自治体次第ではありますが、取り締まりを強化し行政代執行や独自の条例を定めたりしている地域もあります。
・行政代執行
自治体が強制的にゴミ屋敷を片付ける方法です。
ただ、片付けると言ってもすぐに取り掛かるわけではなく、ゴミ屋敷住民に片付けるよう促し、サポートを行います。
それでも改善が見られない場合は、戒告を行い、片付けなければ、強制的に片付けるといった警告を出します。
その警告も無視する場合はこの行政代執行が行われます。
その後、片付けにかかった費用をゴミ屋敷住民に請求します。
ただ、行政代執行が行われるまで半年など多くの時間をかけてしまうのが現状です。
・独自の条例
基本的な流れは行政代執行と同じですが、罰金を定めているところや、伸び放題になっている庭の木々などの伐採なども行政代執行に含めている地域もあります。
また、行政代執行を廃止し、片付けへのサポートを手厚くすることで、精神的な要因でゴミ屋敷住民となった方の手助けをする自治体もあります。
このように、自治体ごとで解決への道のりが異なるため、まずはご自身が住んでいる地域にどのような条例があるかを確認しましょう。
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ゴミ屋敷問題を解決するためにやってはいけないこと
では次にゴミ屋敷問題を解決するためにしてはいけないことを紹介します。
・勝手に片付ける
一番してはいけないことがこの勝手に片付けることです。
第2章でも述べましたがゴミ屋敷住民にとってゴミは大切な品物です。
そのため、勝手に片付けることは人の住まいに不法侵入し、物を勝手に捨てる行為と捉えられます。
ゴミ屋敷が解決するどころか、ゴミ屋敷住民が片付けた側を訴えた場合、片付けた側が捕まる可能性もあります。
・苦情を言いに行く
ゴミ屋敷住民は何も近隣住民への嫌がらせのために、ゴミをためこんでいるわけではありません。
そのため、苦情を言いに行っても理解できない方が大半です。
そんな方に苦情を言いに行けば、ゴミ屋敷住民にとっては良く分からないことで文句を言われたと思い、喧嘩になるかもしれません。
苦情はゴミ屋敷の解決へ悪影響を及ぼしかねません。
ゴミ屋敷問題を解決する方法5つ
では、どうすれば解決するのでしょうか。
最後にゴミ屋敷問題の解決方法を紹介します。
・自治体に相談する
ゴミ屋敷に関する条例を持っている地域でなくても相談することは大切です。
危険はないか確認をしてくれたり、多くの苦情が入れば、条例を作る動きとなるかもしれません。
また、条例を持つ地域であればサポートや戒告などを進めてくれます。
・ゴミ屋敷住民と話し合う
ゴミ屋敷住民にこのような被害が出ているといったことを苦情ではなく、状況を把握してもらえるよう話し合うことも重要です。心を入れ替えてくれるかもしれません。
・ゴミ屋敷住民の親族に相談する
ゴミ屋敷住民の親族に相談することで解決する例もあります。
ゴミ屋敷住民の親族であれば、ゴミを強引に片付けることができるうえ、ゴミ屋敷住民の精神的な問題を解決できます。
ゴミ屋敷住民の親族の連絡先が分かる場合は、ゴミ屋敷住民と話し合うのではなく、親族に直接連絡を取りましょう。
・管理会社に連絡
ゴミ屋敷が賃貸である場合は管理会社に連絡することも得策です。
家の所有者と住んでいる方が異なるため、退去勧告などを出すことができます。
・弁護士に相談する
臭いの被害や害虫被害の記録を取り、弁護士へ依頼して民事裁判へ持って行くのも解決へつながります。
ただ、解決まで多くの時間とお金と労力を要してしまいます。
これらの方法を取って解決していきましょう。
まとめ
ゴミ屋敷は精神的な問題から発生することが多く、解決までのプロセスが長く大変なものです。
そのため、残念ではありますが明日にはすぐに解決といった早急な解決は望めないのが現状です。
ただ、間違っても勝手に片付けたり、苦情を言いに行くのはやめましょう。
この記事が少しでも参考になりましたら幸いです。お読みいただきありがとうございました。