近年、地方の過疎化や核家族化などの影響で、実家で親と一緒に住む方は減り続けています。
そのため、久々に帰省してみたら、「以前よりも汚くなっていた」「実家がゴミ屋敷のように荒れていた」などの状況に驚かれる方も多いそうです。
今回はそんな実家がゴミ屋敷化してしまった場合に親を説得する方法と片付け方を紹介します。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
なぜ実家がゴミ屋敷に?考えられる5つの原因
まず、説得や片付け方法を紹介する前にどうしてゴミ屋敷になったのか原因を突き止める必要があります。
ゴミ屋敷が生まれてしまう原因として、体力の低下や気力の低下、捨てられない、認知能力の低下、セルフネグレクトなどの原因が考えられます。
ただ、原因は人それぞれなので、親の反応や行動などから最終的に判断する必要があります。今回は原因の一例を紹介します。
・体力の低下
人間は老化により体力が年々低下していきます。
体力が低下すれば片付けなどに使える体力は減り、家や部屋は汚くなっていきます。
また、普段から体を動かさない生活を送っていた方は筋肉の衰えも大きく、比較的若い年齢の方でも体力の低下が始まっているかもしれません。
・気力の低下
孤独感や体力の低下などで気力がなくなっていることもあげられます。
気力の低下により片付けられないのは、どんな方にも起こることで、主な原因として、片付けの必要性を感じなくなったことが挙げられます。
そのため、頻繁に帰省するなど常に気にかけてあげる対策が必要です。
・捨てられない
人間は長く生きれば生きるほど、大切なものが増えていきます。
つまり長く生きている方はその人生の長さの分、思い入れのある物があり簡単に手放せません。
また、今は多くの物があふれていますが、昔は物不足の時代がありました。
つまり、「簡単に物を手放すのはもったいない」と考える時代を生きてきたことで、捨てるのに強い抵抗を持つ方もいます。
・認知能力の低下(認知症などの病気)
人間は老化により認知能力が低下していきます。
認知能力が低下していくと、物のしまい方なども忘れ、片付けができなくなっていきます。
また、片付けそのものを忘れてしまうこともあります。
いきなり片付けをしなくなったなどの症状がみられる場合は、認知症などの病気を疑う必要があります。
・セルフネグレクト
自分をネグレクト(無視、怠る、放置)する状態のことをセルフネグレクトと呼びます。
この状態になってしまうと、自分の生活に無頓着になるため、部屋は荒れ、片付けや掃除をしなくなってしまいます。
セルフネグレクトの原因はさまざまで、精神的ショックや孤独感をきっかけに引き起こされてしまうとも言われています。
上記以外にも実家がゴミ屋敷になる原因はありますが、基本的には上記の原因であることが大半です。自分の親がどの状況か説得する前に見極めましょう。
ゴミ屋敷を放置すると起きるリスク4つ
ゴミ屋敷の原因が分かれば、説得は簡単と思われるかもしれませんが、ゴミ屋敷のリスクを知らなければ、なぜ片付ける意味があるのかを理解してもらえません。
ゴミ屋敷を片付けずに放置すると、健康被害や事故、近隣住民への被害、親族との関係が悪化するなどのトラブルにつながる恐れがあります。
・健康被害
ゴミ屋敷は当然きれいな部屋や家よりも湿度は高く、日光も入らないため不衛生です。
そのような環境で病気やけがをすると、治りにくくなります。
また、日光を浴びないといった理由から、生活リズムが崩れ、昼夜逆転生活になったり、眠れなくなったりし、心の病気を引き起こしてしまう場合もあります。
・事故
ゴミ屋敷は多くの物であふれています。
そのため、物につまずいてケガをしたり、物が雪崩れて埋もれてしまうといった危険性があります。
ゴミに埋もれて亡くなった方もいるので、背の高さより物がある場合は早急に改善する必要があります。
また、地震が発生した際に物で逃げ道が塞がれて逃げ遅れる、救急車が来た際に担架が入れなくて病院への搬送が送れるなどの状況も考慮しなければいけません。
・近隣住民への被害
ゴミ屋敷はきれいな家や部屋よりも物が多いため、ほこりが溜まりやすく、火災のリスクが高まります。
火事が起きてしまえば、近隣の家に燃え移ったりと、人災につながることもあります。
また、ゴミが多いことで家が崩れ、近隣住民の家を破壊したり、通行人の上に降りかかり、通行人が亡くなってしまうといった人災を引き起こすこともあります。
・親族との関係悪化
ゴミ屋敷に近づきたいと思う方はいません。
そのため、ゴミ屋敷になってしまえば、多くの親族が離れていきます。
つまり、ゴミ屋敷はさらなる孤独を生むことに繫がるのです。
もし孤独感が原因でゴミ屋敷になっている場合は、さらなる孤独を生み、よりゴミが増えていくということもあります。
ゴミ屋敷を片付けてもらうためにはどのような説得が良い?
基本的で且つ一番良いとされる説得方法は、原因の対策を踏まえた説得をすることです。
例えば、体力がないのであれば、片付けを一緒に手伝うといったサポートを提案します。
一方、片付ける気力がない場合は気力を失った原因を見つけ出し、解消できるよう導きます。
その後ゴミ屋敷のリスクを説明し、片付けを依頼します。
注意していただきたいのは「こんなに汚くして」「ゴミばかり」などと否定するような言動を絶対にしてはいけない、という点です。
また、特に理由もなく片付ける気力が湧かないというケースもあります。
ゴミ屋敷にしてしまう方の多くは、明らかなゴミを含めた全ての物を大切なものと認識しています。
どんな方でも大切なものを「汚い」「捨てろ」と言われれば、気分は良くないはずです。
そのため、「整理したらどう」「こうしたら良いのでは」などとレイアウト変更を促すような言い回しで説得しましょう。
「汚いから片付けて」という言葉は絶対に使わないようにしましょう。
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ゴミ屋敷はサポートをしながら一緒に片付ける
ゴミ屋敷の片付けはサポートをしてあげて一緒に進めていくことが肝心です。
一緒に分別し、捨てていきましょう。
そうすれば、外側から見ているだけではわからないような、ゴミ屋敷になった原因を新たに見つけることができるかもしれません。
さらに、良い品物があれば譲り受けることもできるかもしれません。
親と子供全員が集まって片付けるのが望ましい片付け方法です。
そして、手放しがたい品物を見つけた際は無理に処分するのはやめましょう。
誰かに譲ったり、買取やリユース、リメイクなどを駆使することができれば、ストレスを抱えずに進めていけるはずです。
買取やリユースはリサイクルショップへ持って行けば買い取ってくれ、リメイクはリメイク専門の業者がいますので、利用してみましょう。
しかし、このように片付けができる状態であっても、ゴミの量が多く、簡単に片付けできないこともあります。
そのような場合は業者への依頼がおすすめです。
ゴミ屋敷片付け業者であれば、ゴミを片付けてくれるだけでなく、その後の掃除やハウスクリーニング、リフォームなども承ってくれます。
新しい家や部屋を手に入れられれば、これからの生活の活力となるかもしれませんし、新しい目標を見つけられるようになるかもしれません。
ゴミ屋敷は親からのSOS!異変に気付くことが重要
先ほども紹介したようにゴミ屋敷になる原因の多くは心の問題です。
つまり、実家がゴミ屋敷になることは親が子供へSOSを出していると考えることもできます。
そのため親任せの説得は絶対にやめましょう。
親がもし孤独感から物に執着しゴミ屋敷になった場合は、さらなる孤独感を感じてしまいます。
常に寄り添い、一緒にサポートすることが何よりも重要です。
実家が遠い場合は電話やメールを頻繁にして、気にかけてあげることも大切です。
日頃からやり取りをしていれば、帰省するときのためにきれいにしておこうという気持ちが起き、片付ける意思を自ら持ってくれるようになるかもしれません。
実家をゴミ屋敷にしたのは親かもしれませんが、原因の一端は自分にあるかもしれないということも念頭に置いておきましょう。
他人事のように対応してはいけません。
まとめ
実家がゴミ屋敷になることは、息子、娘の身からすれば、恥ずかしく目をそらしたくなることかもしれません。
ただ、実家がゴミ屋敷になってしまったことは事実であり、変えることのできないことです。
そして、その事実は自分自身が招いたことかもしれません。
親を無視せず現実と向き合い、しっかりと対策する必要があります。
最近は核家族化が進み、親族の付き合いをあまり好まない人の増えているようですが、人間は支え合っていかなければ生きていけません。
親としてではなく一人の人間として手を差し伸べてあげても良いのではないでしょうか。
正面から向き合えば少しずつ片付けられるようになるかもしれません。
この記事で少しでも多くの方のお悩みと問題が解消できましたら幸いです。