大量のゴミで床が敷き詰められ、ゴキブリやコバエが大量に発生してしまった……
そんな「汚部屋」と呼ばれる状況を目の当たりにすると、途方に暮れる気持ちも無理はありません。
実際、あまりの汚さに部屋に入ることすらできず、大家さんや不動産会社に無断で退去する人もいます。。
しかし、このような状況でも部屋を手放すのは早計です。
プロの目からすれば、深刻な汚れであっても、部屋に住み続ける可能性はまだ残されています。
それを実現するための方法を知っているか、知らないかだけの話なのです。
ここでは、汚部屋と化してしまった賃貸物件の対処法をご紹介します。
部屋の汚れにうんざりしている方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
無断で退去するとどうなる?
あってはならないことですが、入居者が大家さんに何の連絡もなく勝手に退去するケースが見受けられます。
そのような状況で汚部屋を掃除せずに無断で退去すると、どうなるのでしょうか?
支払督促が来る
家賃未払いのまま退去された場合、賃貸契約時に家賃保証会社に加入していれば、支払督促が行われます。
支払期限日を1日でも過ぎれば「滞納」とみなされ、遅延損害金を含めた賃料を支払う必要があります。
さらに、汚れた部屋の原状回復費用が保証会社によって立て替えられた場合、こちらも併せて請求されることになります。
強制執行に発展する可能性がある
支払督促から3カ月以上の未払いが続く場合、「強制執行」の手続きが取られる可能性があります。
これには、財産差し押さえや明け渡し手続きが含まれます。
支払いがない場合、地方裁判所で手続きが行われるため、必ず支払いを行わなければなりません。
賃貸物件が汚部屋になる原因とは
なぜ賃貸物件がゴミ屋敷のような「汚部屋」になってしまうのでしょうか?
これには様々な原因がありますが、入居者の心理状態が深く関係しているといわれています。
身寄りがなく経済的に困窮している人が精神的に追い込まれ、「セルフネグレクト(自己放任状態)」に陥ることが一因とされています。
これは精神的な病気の一種で、周囲の継続的なサポートが必要です。
特に賃貸物件の入居者の場合、ゴミ屋敷状態にあることをご近所に気付かれたくないと考え、身なりを整えることで隠蔽しようとする傾向があります。
そのため、些細な食生活や生活時間の変化に気付くことは当然難しく、悪臭や害虫の発生などが起きて初めて問題が発覚することがあるのです。
また入居者自身がゴミ捨てのルールを持っておらず、クレームが入るまでゴミをため続けることもあります。
汚部屋は、入居者が自己を律する仕組みがないことから生じるといえます。
自らルールを設定し、それに基づいて行動することが、空間を清潔に保つための重要な要素です。
汚部屋の対処法①仕分ける
汚れを取り除く前に、作業スペースを確保するためには、物品の整理が不可欠です。
居室内の全ての物を一度取り出し、必要な物と不要な物に仕分けることで、作業スペースを確保することができます。
以下の手順に従って、効率的な仕分けを行いましょう。
分別する道具を準備する
汚部屋の分別作業は大量の廃棄物が発生するため、事前に分別に必要な道具を準備しましょう。
①ゴミ袋
可燃ゴミ、不燃ゴミ、資源ごとに分別するためのゴミ袋を用意します。
これにより、分別作業が効率的に行えます。
必要に応じて、大きめのサイズや丈夫なタイプのゴミ袋を準備しましょう。
②段ボール箱
特に大型のゴミや不用品を収納するために、段ボール箱を用意します。
分別作業の際に、使い捨ての袋よりも頑丈な箱を利用すると、ゴミの収納や移動がしやすくなります。
5箱程度の用意を目安にしますが、必要に応じて増減させてください。
③自治体のゴミ分別表
ご自身の地域の自治体が提供するゴミ分別の情報を確認し、分別作業に役立つ分別表を用意します。
どのゴミがどのカテゴリーに分類されるかを正確に把握し、分別作業をスムーズに進めることができます。
残す物を決める
道具の準備ができたら、今の自分にとって不要な物を決めます。
「いつか使うかもしれない」という気持ちも理解できますが、部屋の整理が進まないため注意が必要です。
*残す物を決める際の手順
①物品の一覧を作成する
まずは部屋の中にある全ての物品を一覧にします。
これには家具、衣類、書類、雑貨など、部屋の中にある物全てを含めます。
②必要な物と不要な物を判断する
一覧を作成したら、その中から必要な物と不要な物を判断します。
必要な物は日常生活や仕事に必要な物や、愛着のある物などです。
一方、不要な物は使用頻度が低い物や、古くなっている物、使わなくなった物などです。
③処分の基準を設ける
不要な物を処分する際には、特定の基準を設けると良いでしょう。
例えば、1年以上使用していない物は処分する、壊れた物や汚れた物は処分する、などの基準を設ければ、判断がスムーズになります。
④リストアップする
不要な物をリストアップし、それ以外の物を整理していきます。
リストアップした物は後で処分する際に参考になります。
⑤心理的な負担を軽減する
片付け中には物品の取捨選択に疲れることがあります。
そのため、事前に「残す物」を全て書き出し、それ以外は処分すると決めておくと、心理的な負担を軽減しながら片付けられます。
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汚部屋の対処法②清掃する
ゴミが山積みになり、悪臭や害虫が発生した状態からの清掃は容易ではありません。
どこから手をつければ良いのかわからなくなることもありますが、以下の手順に従えばすっきりときれいにすることができます。
清掃道具を揃える
部屋を掃除するために必要な道具を揃えましょう。
①ゴミ袋(廃棄専用)
汚れた物や不要な物を捨てるためのゴミ袋です。
大量のゴミがある場合は、耐久性のあるタイプや大容量のものを選ぶと便利です。
②大きな袋(残す物用)
ゴミ袋とは別に、残す物や整理した物を収納するための袋が必要です。
持ち運びや整理作業の際に役立ちます。
③手袋:
掃除作業中に手を汚れや傷から守るための手袋が必要です。
特に汚れたゴミや清掃剤を扱う際に重要です。
④マスク
ゴミやカビなどの異臭や微粒子を吸い込まないようにするためのマスクです。
清掃作業中に健康を守るために必要です。
その他、特に大量のゴミがありカビや異臭が発生している場合は、市販のカビ取り剤や消臭剤も用意しておくと良いでしょう。
清掃する順番を決める
清掃道具が準備できたら、清掃する順番を決めましょう。
清掃する順番は、生活の流れに沿って決めることが重要です。
順番を決めることで、どこまで掃除が進んでいるかを把握しやすくなります。
例えば、玄関から始めてキッチン、リビングルーム、寝室といった順番で掃除を進めると、部屋全体を効率的に清掃することができます。
玄関や通路から始めることで、外から持ち込まれた汚れやゴミを最初に片付け、部屋内の清潔さを保ちます。
次に、使用頻度が高いキッチンやリビングルームから始めると、快適な生活空間を確保することができます。
また、部屋全体の汚れ具合や重要度に応じて順番を調整しても良いでしょう。
特に汚れやゴミが溜まりやすい場所や、清掃が必要な箇所を優先して掃除することで、効率よく作業を進めることができます。
他にも、家具の配置や動線に合わせて順番を決めることも考慮します。
清掃作業を行う際には、部屋全体を一度俯瞰し、自分のライフスタイルに沿って掃除する箇所や作業の順番を十分に検討しましょう。
また、掃除の流れを決めて効率的に作業を進めることで、より快適な生活空間を維持することができます。
1日の作業量を決める
清掃の流れを決めたら、1日の作業量を計画することが重要です。
まず、一日で全てを終わらせることは現実的ではないので、達成可能な範囲で作業を進めます。
そのためには、その日のゴールを具体的に設定する必要があります。
例えば、「今日は玄関周りの掃除を完了する」といったように、部屋全体ではなく特定のエリアに焦点を当てると効果的です。
このように小さな目標を設定すると、作業が進むたびに達成感を得ることができます。
また、清掃作業はモチベーションとの戦いでもあります。
作業が長時間にわたる場合や、汚れがひどい場合には特に、モチベーションを維持するのは難しいかもしれません。
モチベーションを維持するためには、達成感を得るための工夫が必要です。
作業を進めるごとに小さなご褒美を用意する、作業中に音楽やラジオを楽しむなど、清掃が楽しくなる要素を取り入れてモチベーションを高めましょう。
汚部屋の対処法③業者に依頼する
自分で清掃することが理想ですが、場合によっては負担になることもあります。
そのような場合は、汚部屋清掃専門の業者に依頼することも選択肢です。
専門業者に依頼すれば、経験豊富なスタッフが心身の負担を軽減してくれます。
また、専門の知識と技術を活かして、汚れや悪臭の根本的な解決が可能です。
ただし、その分料金が発生しますが、料金体系やサービス内容について具体的に知りたい場合は、無料で相談できる業者も多く存在します。
最近では、電話やメールだけでなく、SNSを通じても気軽に相談できる業者が増えていますので、自分に合った方法で相談してみてください。
なお、優良業者の特徴として、「ホームページに料金体系やサービス内容が具体的に記載されている」ことが挙げられます。
また、作業風景の写真やお客様の声の掲載があるサイトは安心感があります。
以上のポイントに注意しながら、自分に合った業者を数社選んでみると良いでしょう。
まとめ
どれだけ深刻な汚れを抱えた部屋でも、解決の糸口は必ず存在しています。
もちろん惨状をよく理解しているのはお部屋主様ご自身であり「手に負えないから部屋を手放したい」というのも無理はありませんが、家族や友人、またはゴミ屋敷などの汚部屋専門の業者に勇気を出して相談してみると、案外容易に解決できるかもしれません。
ぜひ当記事を参考に、汚部屋の処理にチャレンジしてみてください。